2017年8月12日土曜日

フェリシーと夢のトウシューズ

弱い残暑の土曜日。丸の内TOEI②エリック・サマーエリック・ワリン監督作品『フェリシーと夢のトウシューズ』(日本語吹き替え版)を観ました。

フェリシー(声:土屋太鳳)はバレエ・ダンサーに憧れる11歳の孤児。同い年で発明家志望のヴィクター(声:花江夏樹)とブルターニュの孤児院を脱走しパリを目指す。フェリシーはオペラ座バレエ学校に入り、ヴィクターはギュスターヴ・エッフェル博士に弟子入りする。

技術も知識もカネもコネもないが、才能と情熱だけは人一倍。意地悪なライバルに邪魔されたり、親切な大人たちに助けられたり、芸と恋の板挟みになったりしながら、正味7~10日間ぐらいでしょうか、シンデレラストーリーとしても、痛快アクション冒険活劇として楽しめます。

ディズニー出身、のちにDREAMWORKSで『マダガスカル』や『カンフーパンダ』を手掛けたテッド・タイのCGアニメーション。大屋根の細い棟の上のバレエステップ、カーチェイスシーンの派手なカット割り、飛行/落下、等々スリリングでスピード感溢れる。19世紀末のパリの街並みの優美さ。パリ・オペラ座の現芸術監督オレリー・デュポンが振り付けしたダンスシーンはあえてモーションキャプチャを用いず、より大きく、高く、速く、観せる。

そんな短期間でバレエが上手くなるはずがない、なんて野暮はファンタジーなのですから言いっこなしです。音楽はチャイコフスキーが少々と大部分は四つ打ちのポップソング。主人公を巡って幼馴染ヴィクターとロシアの貴公子ルディ(声:内山昂輝)、男子2人の決闘のショボさに比べてフェリシーとカミーユ(声:青山美郷)のダンスバトルが華やかで野性的で力強いのも、現代的で素晴らしいなあ、と思いました。

舞台は1880年代のパリ。オペラ座(ガルニエ宮)は出来立て、1989年のパリ万博に向けて建設中のエッフェル塔、アメリカ合衆国に贈られた自由の女神像も同じ工房で造られている。自分が生まれる前からあるランドマークや芸術作品は、はじめから地上に存在していたかのように錯覚してしまいますが、誰かの大変な工夫や苦労によって創造されたものである、という当たり前の、でも普段忘れがちなとても大事なことを思い出させてくれます。


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