神無月。強い雨が降っていますが、東京オペラシティは京王線初台駅地下コンコースに直結しているので快適です。アジア オーケストラ ウィーク2014の初日公演を聴きに行ってきました。
ホーチミン市交響楽団
指揮 チャン・ヴォン・タック
ヴァイオリン グエン・フー・グエン
・ド・ホン・クァン/オーケストラのための夜想曲「こだま~いにしえからの~」
・チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲ニ長調
・ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調作品92
ド・ホン・クァンは1956年ハノイ生まれ。今日演奏された曲は、繊細な弦楽が調整と無調性の間を幻想的に漂い、ハープがベトナムの伝統的な旋律をなぞる。そして時折戦火を想像させる打楽器のフォルテシモが響く、というドラマチックなものでした。英題は "Nocturne for Orchestra Echo From The Past"。
チャイコフスキーのコンチェルト。ソリストのグエン・フー・グエン氏は小柄で、そのせいかときどき音量が足りないように感じることがありましたが、難曲を正確に弾きこなしていました。というより、オケの音が全体にデカかった。でも僕みたいにポップミュージックに慣れた耳にはこれぐらいが心地良いです。
ベートーヴェンの7番は、第1楽章は『のだめカンタービレ』、第2楽章は『陽の当たる教室』で使われています。ホーチミン市立オペラハウスに所属しているこのオケには、ベトナム人らしい几帳面さがあり、またそれを自らの美点として誇りに感じていることが演奏から伝わってきて爽快です。
そしてアンコールのマスカーニ「カヴェレリア・ルスティカーナ」の可憐な美しさといったら! 細かいミスはライブにはつきものですし、アラを探したらキリがないですが、僕にはとても楽しめました。女性楽団員の衣装が全員黒のアオザイというのもよかった。
ベルリンやウィーンから見たらトーキョーもホーチミンもたいして変わらない。でも、それぞれの街にオーケストラがあって、人々に音楽を聴く喜びを提供しているというのはとても素敵なことに思えます。それは宮廷から大衆に音楽を譲渡したいと願ったベートーヴェンが描く理想の世界だったんじゃないでしょうか。
このライブイベントのことは今回初めて知りましたが、公益法人日本オーケストラ連盟の主催で2002年から毎年開催されているそうです。公演プログラムによると過去15ヶ国48団体を招聘しているとのこと。是非また来てみたい好企画です!
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