2013年6月20日木曜日

Poemusica ~詩的にメロディアス~

サマータイム。東京は雨が降ったり止んだり。夏至前夜、下北沢Workshop Lounge SEED SHIPにて"Poemusica ~詩的にメロディアス~"が開催されました。雨のなかご来場のお客様、どこかで気にかけてくれていた人たち、共演者のみなさん、SEED SHIPの土屋さん、どうもありがとうございました。

黒髪のベリーショートに黒のワンピース、黒のヒールの右足だけ脱いで、黒いグランドピアノに向かう瀬里奈さん。ひとりの若い娼婦を主人公にした物語を、ときおりナレーションを挟みながら組曲風に表現して、まるで古いモノクロームのショートフィルムを観ているみたい。けっして明るい曲調ではないのですが、朗々としたベルカントで完璧な音程を紡ぐさまは爽快感すらおぼえます。ピアノがまた確かな腕前で、硬軟強弱を自在に操り、その欧州的な構築美は、どこまでもドラマチックでした。僕ら世代だと、ニナ・ハーゲンシンニード・オコナーなんかを連想してしまいます。

アナンくんは大学を卒業したばかり。見た目シャイな数学男子って感じですが、その音楽はファンキーでエモーショナル。アコースティックギターのカッティングに、ボディをタップしたキック音、オクターヴァー経由のベースライン、アナログオシレーターの発振音をループマシンを駆使して即興的に組み立てていく様子は科学実験に夢中になっているティーンエイジャーのよう。そこに被せるハスキーなウィスパーヴォイスはどこかノスタルジック。レトロ・フューチャー・ミュージック。スライとか好きなのかな。訊いてみればよかった。

そんなふたりとは対照的に、倉沢桃子さん(画像)にはお姉さんらしい落ち着きがあって、どこまでもナチュラルでした。伝えたいことがはっきりしていて、自分の表現に確信を持っている人の醸し出す安定感と、世間擦れしていない瑞々しさが奇跡的に同居している。丁寧なフィンガーピッキングで緩急をつけて正確に奏でられるギター、絶妙な距離感の歌詞、静かに心に沁みこんでいくような歌声は、ボーイッシュでクールな容貌と相俟って心地良く、いつまでも聴いていたくなる。初夏の涼風のような魅力を持つ人。

そして、Little Woody はいつものLittle Woody。なんだけど、ちょっと違った新しい試みも。それは会場に集ってきてくれた人たちだけの秘密(笑)。そうそう、Little Woodyは、金佑龍くんのバンドメンバーとして、FUJI ROCK FESTIVAL '13 に出演が決まりました。これマジで快挙。心からおめでとうと言いたい!

僕はオープニングに米国人作家レイ・ブラッドベリの一周忌に寄せて、彼の短編小説『霧笛』の一節、つづけて自作詩"International Klein Blue"。そして倉沢桃子さんのギターのアルペジオに乗せて、夏至の朝昼夜を描いたトリプルソネット「ガーデニア Co.」を朗読しました。

そんなストーリー性のある夏至前夜のPoemusicaでした。来月はちょっと早めの第二木曜日の開催です。雨季が明けているといいな。

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Poemusica Vol.19
日時:2013年7月11日(木) Open 18:30 Start 19:00
会場:Workshop Lounge SEED SHIP
    世田谷区代沢5-32-13 露崎商店ビル3F
    03-6805-2805 http://www.seed-ship.com/
    yoyaku@seed-ship.com
料金:予約2,300円 当日2,500円(ドリンク代別)
出演:矢野あいみ *Music
    QooSue *Music
    Little Woody Band *Music
    カワグチタケシ *PoetryReading

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