2013年6月16日日曜日

ハル

新宿ピカデリーで単館公開中の牧原亮太郎監督の中編アニメ『ハル』を観ました。

舞台は近未来の京都。恋人ハルを飛行機事故で亡くし、引きこもるくるみのもとにケアセンター孤狸庵から派遣されてきたのはハルの姿に改造された介護ロボット「Q01(キューイチ)」。ルービックキューブの色を合わせるとふたりの願い事が現われ、ロボハルはそれをひとつずつ叶えようとする。

なんといっても木皿泉脚本のオリジナルストーリー。『すいか』『野ブタ。をプロデュース』『セクシーボイスアンドロボ』、なかでも2010年の日テレ系秋ドラマ、佐藤健前田敦子主演の『Q10』は生涯に観たテレビドラマのなかでもかなり上位にランクインします。で今回「Q01」ってことですから期待が大きくて、やや大き過ぎたのかもしれません。

芸術家(と敢えて言いますが)には、各々の才能を表現するのに適した尺があるんじゃないでしょうか。草野マサムネなら3分半、アンドレイ・タルコフスキーなら3時間半(笑)。木皿さんの場合は3ヶ月クール、計8~10時間の枠で、丁寧過ぎるぐらい丁寧に時間をかけて感情のひだを綴っていくのが一番向いているのだと思います。70分じゃ全然足りない。

アニメーションの水の描写は素晴らしく、その技術と根気には心から敬意を表したいです。洋服のボタン型の破損したメモリーチップを再生したときのデジタル画像のノイズ描写も繊細だった。また大島ミチルの音楽も、その曲調が高まると声をミュートしてくちびるの動きと表情で台詞を伝える牧原監督の演出もよかったです。


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