2019年2月3日日曜日

ナチス第三の男

節分の午後TOHOシネマズシャンテセドリック・ヒメネス監督作品『ナチス第三の男』を観ました。

1929年独キール。海軍少尉ラインハルト・ハイドリヒジェイソン・クラーク)は将来を嘱望されていたが、女性問題で失脚し不名誉除隊となった。婚約者リナ(ロザムンド・パイク)はナチ党員。その紹介で入党、反対勢力の大粛正とユダヤ人虐殺で実績を上げ、ヒトラー、ヒムラー(スティーブン・グレアム)に次ぐ党ナンバー3まで昇りつめ、ナチ統治下のプラハを任された。

一方、チェコスロヴァキアのレジスタンス、ヨゼフ(ジャック・レイナー)とヤン(ジャック・オコンネル)がハイドリヒ暗殺のために、亡命先のロンドンから飛び立った英国空軍機から豪雪のチェコスロヴァキア山中にパラシュートで降下する。

ローラン・ビネの小説『HHhH プラハ、1942年』の映画化。台詞は英語、映画の原題は "The Man With The Iron Heart" です。

前半はハイドリヒの物語。エリート士官が挫折を経てナチスの思想にのめりこみ、反対勢力や疑わしき者は容赦なく殺す。その経緯を短いエピソードの積み上げで上手く描写しています。彼が率いたナチスSS(親衛隊)、ゲシュタポ(秘密国家警察)の冷徹な非道ぶりには憎しみや嫌悪を超えて、無気力すら覚える。

後半はチェコのレジスタンスたちが主人公。英国軍とのパワーバランス、暗殺計画、実行、ナチスの報復。志を持つ男たちが圧倒的な物量に敗北するリアリズム。手持ちカメラの躍動的な画角でスリリングに切り取っています。

そして女たちはいずれの側でも翻弄され、時代の奔流に飲み込まれていく。ハイドリヒの妻リナもヤンの恋人アンナ(ミア・ワシコウスカ)も美しく、強く、人間的に描かれている。

残念なのは、前半と後半が別の映画のように見えてしまうところ。救いのない物語ではありますが、ラストカットでヨゼフとヤンの輝かしい青春の1ページに巻き戻したことが、やり直しの利かない人生に微かな光明を与えてくれます。


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