2013年4月11日木曜日

宇宙から見たらどんなことだってまるでチリのようじゃない?

吉祥寺MANDA-LA2で開催されたmueさんの弾き語りデビュー12周年記念ソロライブ『宇宙から見たらどんなことだってまるでチリのようじゃない?』。会場に集まった人たちの多くが同時に音楽に恋をしているような幸福なライブでした!

12年前の4月11日に初めてひとりでステージに立ち、翌年の同日にも偶然ライブのオファーがあったことから、毎年この日にソロライブを開いているという、日付という数字にまつわる神秘。それは偶然なのか運命なのか。

前回同じ会場で聴いたときは、同じ熊谷大輔さん(dr)、chubby!さん(b)の強力なリズムセクションのうえにふんわりの乗ったmueさんのギターとピアノと声、という印象でしたが、今回は打って変わってがっちりタイトなギター・トリオ。タイム感が完全にバンド化していました。それに呼応するかのようにmueさんの声がいつもより力強く、ピアノもソリッド。そしてチェロの橋本歩さんが、ともすれば無骨に傾きがちなトリオの演奏に、空間と色彩を添える。

冒頭のアシッドフォークな3曲で流れをつかみ、ギターからピアノに移り3曲、ギターに戻って弾き語りを3曲。FUTTONG大久保欽哉さん(Vo,G)とのデュオ2曲以外はすべて3曲を単位とした5セットで構成され、ここにも数字にまつわる神秘が。アンコールを急遽2曲に増やしたのも、デュオの2曲とバランスを取っていたのでは。

チェロのオブリガートがダイナミックな "Lucy In The Sky With Diamonds"、高速ボッサにアレンジされた"トレイントレイン"、「私の心はあなたのために大変痩せた死ぬかもしれない」と唄う"小笠原の南洋踊り"。カバーの選曲センスもさることながら、編曲と演奏がしっかりと自分の曲になっていることからも、mueさんの音楽的基礎体力の高さが窺えます。

そして「恋」。音楽を形容するのによく「愛」という言葉を使いますが、あるいは「信じる」「信頼」。「恋」はちょっと違うんですよね。まだおたがい気持ちが不安定で、でも不安定ゆえに抗いがたい。自分が恋していることを確信しながら、相手の気持ちをどこかで信じきれない。それゆえの切なさ。なのに切なさを超える幸福感。

愛くるしいビジュアルにエッジの効いたアティチュードを持つmueさんもとても魅力的な人ですが、それ以上に彼女が奏でる音楽に、観客も、会場スタッフも、バンドメンバーも、mueさん自身も恋をしている。そんな高揚感が満員の会場を包んでいました。


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