2013年3月21日木曜日

Poemusica Vol.15

すこしだけ寒さが戻ってきた春分の翌日。下北沢Workshop Lounge SEED SHIPにて"Poemusica Vol.15"が開催されました。

この日はいつものPoemusicaとはちょっと違う特別なコラボ祭。平井真美子さん神田サオリさんと、Little Woody Bandカワグチタケシと、それぞれがっぷり四つに組んで、一夜限りのショーをお届けしました。

今回のLittle Woody Bandは4人編成。ウッドベースLittle Woody、キーボードVi-Ta、カホン若山雅弘、ボイス&コンサーティーナmoqmoq(オカザキエミ)という豪華布陣。各々がピンでセンターを務められるつわものどもが集って、本気のインプロヴィゼーションを展開します。タイトなカホンにファットなベースのリフ、ドリーミィなエレピと天上の声に乗せて、僕は「Universal Boardwalk」というタイトルの12.5篇の連作ソネットをリーディングしました。なんかもう幸せでした。

休憩後、Poemusicaではすっかりおなじみピアニストの平井真美子さんが楽器の前に可憐に腰かけ演奏を始めると、すこし遅れて白いワンピース姿の神田サオリさんが満員の客席を縫ってステージへ登場。素手にウルトラマリンの絵具を乗せて画布にS字曲線を描く。その繊細な所作はコンテンポラリーダンスを思わせます。

ピアノ演奏の抑揚に呼応するように、ときに激しく、ときにリリカルに描かれる抽象的な渦巻き模様は星雲のよう。そこに黄色やピンクが加わり、画布上の季節は冬から春へ。まるで満開の桜並木を空から見下ろしているような気分になりました。ここまで40分弱。

そして10分のインターバルをはさんで後半。映画やTVなど映像系の音楽を多く手掛けている真美子さんだけあって、ビジュアルイメージを音像化するスキルに素晴らしく長けており、テンポや強弱だけでなく、暖色系も寒色系も、直線も曲線も、ピアノの音色で表現できる技術を持っています。

ステージが進むにつれ、サオリさんの背中がうっすら汗ばみ、肩甲骨の動きも、画の色彩もエロティックに。単純に音楽に反応しているだけではなく、本当の意味でのインタープレイがそこに表現されていました。抽象と具象を行き来し、最後は小さな白い花びらを画布に散らして。

生涯に一度の夜。365日どの夜も生涯に一度ですが、忘れ難い夜とそうでもない夜があるとしたら、この夜はまぎれもなく前者。明日で長い役目を終える下北沢の地上駅舎に向かって、ふわふわした足取りで帰途に着きました。

次回のPoemusicaは4月18日(木)。ところは同じく下北沢Workshop Lounge SEED SHIP唄子さんを静岡から迎えて開催。Little Woodyが3ヶ月ぶりにアニメーション作品を披露します。どうぞみなさんお見逃しなく!


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