菊野渓(橋本環奈)は日商簿記2級合格を目指す専門学校生、デリヘルを装ったぷるるん天然娘特急便のケイとして殺し屋のアルバイトをしている。依頼を受けて向かった先はSMホテル。アイドルの卵を拉致した男たちを殲滅する。
学校帰りの通学バスで足りない小銭を払ってくれたテラノ(杉野遥亮)は広域暴力団伝馬組の会計士。組の跡目争いの渦中に親友を失ったテラノは13億円を横領し、ケイはテラノをターゲットとする依頼を受ける。
映画の冒頭数分でMAN WITH A MISSIONに乗せて10人以上が殺される。モーションキャプチャCGを多用したアクション、小刻みなテンポのカットアップ、カラフルでポップな色彩はMV的で、殺戮の凄惨さや殺される者の恐怖や痛みは描かれない、というより橋本環奈の可愛さが全部帳消しにしている。主演女優橋本環奈を鑑賞することに特化した映画と言っていいと思います。その意味で全く退屈することなく、あっという間の上映時間でした。
『グロリア』(1980)、『ニキータ』(1990)など、女性が屈強な野郎どもを殺しまくる映画は枚挙にいとまなく、『ハンナ』(2011)、『ガンパウダー・ミルクシェイク』(2021)をこのブログでも取り上げていますが、長身スレンダーなシアーシャ・ローナンやカレン・ギランとは異なり、橋本環奈のケイはちんちくりんでややぽっちゃり、ハンナやサムのように殺し屋になったバックボーン(奇しくも親との関係性が濃密)にも言及されない。
「わたしは大丈夫。希望を持ってるから。小さくてもそれを持つのいいことだ」というケイはあくまでも媒介として存在し、依頼者やターゲットの事情や人間臭さを際立たせる。もうひとり常人離れした敵対組織のラスボス的存在みちたかくん(城田優)とともに物語にファンタジー&コメディ感を与えています。
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