「ファーム(会社)と呼ばれる男たちがいてずっと昔から商売している。後始末が必要になると私が呼ばれる」。サム(カレン・ギラン)は腕利きの殺し屋。シリアルを食べながら現場で負った腕の傷を自分で縫っている。ターゲットは数名の軽装の男たちとファームの人事部長ネイサン(ポール・ジアマッティ)に言われたが、実際には数十名の武装集団に囲まれ、殲滅させる。サムが殺した男たちの中にファームの上顧客の一人息子がいた。
次の指令はファームの資金を横領した公認会計士(サミュエル・アンダーソン)を処分し金を取り戻すこと。ホテルの一室で彼を撃ち重傷を負わせるが、誘拐された8歳9ヶ月の愛娘の身代金のために盗んだことを知り、かつて母親に捨てられた過去を持つサムはその娘メアリ(クロエ・コールマン)の救出を決意する。メアリは奪還したが金を失い、サムはファームとマフィアの両陣営から追われる身となる。
アメリカン・ダイナーと重厚な煉瓦造りの図書館が共存し、キッチュなネオンが煌めくクライムシティで繰り広げられるノンズトップガンアクションとカリカチュアライズされたシスターフッド。3人の図書館司書はかつてファームの殺し屋だったサムの母スカーレット(レナ・ヘディ)の元同僚。堅実で優しいマデリン(カーラ・グギーノ)は白人、口が悪くて血気盛んなアナ・メイ(アンジェラ・バセット)はアフリカ系、無口でクールなフローレンス(ミシェル・ヨー)はアジア系と人種の偏りを回避する配慮がある。
腕力だけで頭が悪い白人男たちに、賢くて強い女たちが立ち向かい倒していくのがとにかく痛快。麻酔を打たれ両腕が利かないサムが幼いメアリにハンドルを握らせるカーチェイスなどアイデア溢れるアクションシーンの数々に興奮します。
図書館のシーンではメアリに銃撃戦の掃射音を聞かせないようにBig Brother & The Holding Company(ジャニス・ジョプリン)の "Piece of My Heart" をヘッドホンから爆音で流す。ダイナーの戦闘シーンのスローモーションにはボブ・ディランの "It's All Over Now, Baby Blue" のThe Animalsバージョンが重なります。歌詞とバンドサウンドとシーンのシンクロを狙った意図は理解できますが、ここは女性ボーカルのジョーン・バエズによるカバーという選択肢もあったのではないかと思います。
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