「アウトプットが足りないから」と始まったmueさんの毎月ライブの3回目は、4月11日のバンドセット、5月20日のソロ弾き語りに続き、ギタリストのタカスギケイさんとのデュオ。「今ごろ君は知らず/お月さまと眠ってる/今夜も僕だけが/君のことを思ってる」という歌詞のmueさんにはめずらしいラブソング「お月さまと」でスタートしました。
続く4ビートの「蜘蛛の糸」。いつものエレガットではなく、4月に初披露した真赤なGibson ES-335を全編にフィーチャーし、直挿ししたRoland Jazz Chorus 120(ギターアンプ)のコーラスエフェクトできらきらした音色を響かせます。煙草やコカコーラといったシンボリックなアイテムが歌詞に描かれた3曲目のブルースナンバーでは1弦のグリッサンドのみで押し通す豪快なギターソロも。
共演機会の多いタカスギケイさんと呼吸の合ったアンサンブル。「Woman "Wの悲劇"より」の空間処理、「朝の15分の静寂」のサビではピッチシフターを通した重厚なベース音が効果的でした。
後半はピアノの前にポジションを移し、Jackson5の "Never Can Say Good-Bye" で再開。「ボロボロ」の的確なオブリガート、曲の入りでキーを見失い迷走するかに見せてきっちり着地した「大きな流れをつくる」など、ピアノ演奏技術の向上が昨今著しい。
英語詞の「Light Up The Future」では歌詞の和訳を、ジャズとアンビエントを揺らぎながら行き来するようなタカスギケイさんの流麗なソロギターインプロヴィゼーションに乗せて廃品回収車に寄せた自作詩を、朗読する場面がありました。僕は朗読が本職ではない人の朗読が大好物なので、とてもよかったです。また聴きたい。
「ガラクタの城」を冠したライブは過去2回、2015年と2016年にいずれも新高円寺STAX FREDで聴いています。そのジャンク感、未完成な輝きと比較すると、2026年のガラクタの城は円熟味がありました。最低限の決めごとが必要なアンサンブルというフォーマットのせいもあるとは思いますが、mueさんご自身の10年間の経験に裏打ちされた音楽家としての成熟を感じました。







