「これでわかった。どんな文明も滅びる。映画も」。シネマテーク・フランセーズの試写室で、ロベルト・ロッセリーニ(ローラン・モット)の新作を見終えたジャン=リュック・ゴダール(ギョーム・マルベック)、フランソワ・トリュフォー(アドリアン・ルイヤール)、クロード・シャブロル(アントワーヌ・ベッソン)、シュザンヌ・シフマン(ジョディ・ルース=フォレスト)。4人は映画評論家であり、映画雑誌『カイエ・デュ・シネマ』の編集者、いずれも20代の若者である。
エリック・ロメール(コーム・ティユラン)、ジャック・リヴェット(ジョナス・マルミー)がタイプライターを叩くカイエ編集部で、ゴダールはデスクの引き出しの金庫から紙幣をくすね、トリュフォーの『大人は判ってくれない』が出品されているカンヌ映画祭へ行く。
1959年のパリ。ヌーヴェルヴァーグの創成期を舞台に、ジャン=リュック・ゴダールが監督第一作『勝手にしやがれ』を製作する過程を追った、史実に基づくフィクションは、『勝手にしやがれ』と同じ白黒1:1.37の画角で撮影され、フィルム上のノイズやキューマークまで再現されています。
「最高の批評方法は自分で映画を撮ること」。戦場カメラマンのラウル・クタール(マチュー・パンシナ)を雇うが、これが当たる。戦闘中の動体を追っていたクタールは、街中でのゲリラ撮影にうってつけ。手持ちカメラはリール音が大きくて同録ができないが、それを逆手に取り、カメラの背後で思いついたセリフやアクションをリアルタイムで役者に大声で伝え、演じさせるゴダールの即興演出が生まれる。
[未熟な詩人は模倣し、成熟した詩人は盗む(T.S.エリオット)]。上映開始から40分は、資金集めやキャスティングなど、ドタバタな準備を描く。クランクイン後は「○日目」とテロップが入り、撮影の20日間を日別に描くのは、リンクレイター監督らしい表現です。
天才の型破りで予測不能なわがままに振り回される、という見方もできますが、ゴダールも役者たちも裏方もみな一様に無邪気で前向きで楽しそうな印象が強く残りました。決められた手順に沿って清々と撮影を進めるより「今日はアイデアが尽きた」と突如打ち切るのは、はた迷惑ではありますが誠実な態度にも思われます。


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