La Subalaさんは住宅街の一戸建て。一部吹き抜けの広いダイニングルームのステージに野本さんとJUJUさんが登場し、6/8拍子のスウィングナンバーで会場をあたため、Chiminさんを呼び込む。リリカルなピアノのイントロに導かれた1曲目は2004年のデビュー盤収録の「たどりつこう」。野本さんの左足の踵がバックビートを踏む。
「言葉ひとつ」は先々週ノラバーで聴いた繊細な表現から一転、力強く歌い上げる。そして「まるで昔のことのように」「茶の味」と2012年の名盤『住処』収録曲が続く。野本晴美さんこそが『住処』でピアノを弾いているご本人。今日のライブではトリオ用にリアレンジされているものの、要所要所で立ち現れるアルバムのフレーズに心躍ります。
野本さんとChiminさんの共演は、表参道にあったPRACA11で2014年に聴いていますが、その後Chiminさんがライブから離れていたけっして短いとは言えない数年間、何百回とリピートして聴いていた『住処』のアトモスフィアが2026年の初夏に、瑞々しい輝きを保ったままアップデートして再現されていることに胸が熱くなりました。
後半の「残る人」「時間の意図」「夜」も『住処』のナンバー。サンバのリズムの「残る人」ではJUJUさんがフルートの歯切れ良いタンギングで応え、スローな「時間の意図」「夜」は野本さんの左足の四分音符が床伝いに響くことで、楽曲に内在する静かなグルーヴを感じる。そしてリハーモナイズされた「住処」のイントロ。
「野本さんのピアノありきでJUJUさんが編曲した」というMCの通り、Chiminさんの濁りないロングトーンに寄り添うJUJUさんの管楽器のウォームな息遣いと野本さんのピアノのひんやりとしたタッチがアルバムのトーンを決定づけていましたが、ライブでは、あるいは十数年後に聴いたためか、野本さんのピアノから乾いているのに柔らかい優しさを受け取りました。
2部冒頭のデュオはCarla Bleyの "Lawns"。以前、同曲の加藤エレナさんのピアノを「夏の夜露を含んだ芝生」と形容したことがありますが、野本晴美さんのピアノに、日の傾きかけた公園の芝生を駆ける子どもたちの姿を想像しました。


0 件のコメント:
コメントを投稿