2024年3月2日土曜日

Early Spring Homecoming

早春曇天。幡ヶ谷の名店 カフェ&ワイン jiccaにて、Pricilla Label presents "Early Spring Homecoming" を開催しました。ご来場のお客様、jiccaトリちゃん、ありがとうございました。

開演時間は午後3時半。おやつタイムのライブに特製のスイーツプレートを出してもらいました。

ざくろのチョコレートケーキは濃厚なカカオ風味の中に果実の酸味、カルダモンのバニラシャーベットのスパイシーな香りに、季節のフルーツが爽やかさと彩りを添える。jicca の提供するメニューはカジュアルですが、五感に訴える作品だといつも思います(開場前のランチタイムにいただいたクラムチャウダーも素晴らしかったです)。

石渡紀美さんとの二人会は2015年12月に同じjiccaで、紀美さんの『十三か月』と僕の『ultramarine』のWレコ発 "fall into winter" 以来。

紀美さんの一篇めは自作の「声」。次に僕の「」。どちらもソネットです。もう一篇僕の「風の生まれる場所」を「平和の詩」と言って朗読してくれたのですが、それが自作ながら目から鱗で。思えば出会った頃から彼女は、平和のために詩を書いている、と言っていました。その意味が二十数年経ってようやく理解できた気がします。

平和の対極に戦争を置いてそれを否定するような手法ではなく、日常を日常として送ること、それをつぶさに観察し描写することが彼女にとって平和の実現に近づく一歩めなのだと思います。例えば、湯を沸かす、洗濯物を取り込む、野菜を吟味するなどして。

僕のセットリストは以下5編です。

1. ナルシスの旅石渡紀美
4. 路上にまつわる断章 Fragments On The Road

短いインターバルを挟んで後半はトークと今回のライブのためにふたりで書いた「連詩:Early Spring Homecoming」を聴いてもらいました。毎年末にさいとういんこさんと巻く連詩が対話篇だとしたら、紀美さんとの連詩は共同でひとつの庭園を造り上げるような趣きがある。連数や行数、前の連とのリレーションなど、ある程度形式を決めて取り組んだのもその理由のひとつだと思います。書いている最中にはそういう話はしなかったので、トークでお互いの制作過程の手の内を明かしました。

jicca の雰囲気とも相まって、客席のみなさんが僕たちの声を集中して熱心に聴いてくださるのが伝わってきて、自然と熱が入る。アンケートでは、他の季節の連詩も聴きたい、というありがたいコメントもいただきました。実現できたらいいな、と思います。

 

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