2015年5月23日土曜日

十三か月ともっと

プリシラ・レーベルは1998年創立のインディーズ出版社、経営理念は「ホチキスどめ詩集のトップブランドを目指して」。インクジェットプリンタとちょっとしたアイデアと丁寧な手仕事があれば、美しい書籍を作ることができる、というモットーで、自分が出したい本(とリーディングCD)だけを出版しています。

昨年末、石渡紀美さんから『十三か月』の草稿を預かって半年。高瀬久美さんに挿画のご協力をいただいて、このたび新刊のはこびとあいなりました。

そして本日、白山の老舗JAZZ喫茶映画館さんをお借りしてリリース記念イベント『十三か月ともっと』を開催しました。ミュージシャンならレコ発ライブというところですが、詩人ですから朗読会です。

“2011年の東日本大震災と、それに続いて起こった福島原子力発電所の事故は、恐ろしいことに4年経った今もまだ終わっていない。だけどもっと恐ろしいことは、私たちが(この国が、とは言わない)だんだんあの時に思ったことを忘れてきているということだ”(あとがきより)

ライフゴーズオン。あれから1年と1ヶ月のあいだに、花が咲き、花が散り、季節の匂いが移り変わった。けれどもそれは繰り返しのように見えて繰り返しではない。我々のパラダイムは様変わりしてしまったから。その機微を彼女は平熱の言葉で綴り、静かに声に出しました。それは本当の意味で詩人が為すべき仕事だと思います。13篇の詩は柱時計の音だけを伴奏に客席に沁み込み、朗読が終ると自然と大きな拍手が鳴りやみません。

3.11をテーマにしたフリーエントリーのオープンマイクでは4人の参加者が声を発しました。やさしい声、焦燥にかられた声、熱を帯びた声、小さな声。それぞれ異なる声が、塊ではなく個人へと届いたように感じています。

たくさんの方に読んでもらいたい詩集が出来上りました。石渡紀美詩集『十三か月』は、6月7日(日)『朗読の時間』@高円寺大陸バー彦六など、作者の出演するライブ会場のほか、7月5日(日)に両国江戸東京博物館で開催される詩のコミケ『TOKYOポエケット』のプリシラ・レーベルのブースでも販売します。

 

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