1970年代終盤のサウスロンドン。主人公ブルー(ブリンズリー・フォード)はカリブ海諸国からの移民が多く暮らすブリクストン地区でジャー・シャカと覇権を争うサウンドシステム、アイタル・ライオンのDJ(HIPHOP風に言うとMC)。昼間は自動車整備工場で働いているが、ランチタイムの仕事を断って白人の上司に解雇される。
高架下のガレージがアイタル・ライオンのスタジオ。ブルーと仲間たちは夜ごと集い、新しいビートとダブサウンドを実験しているが、大音量に怒った向いのフラットに暮らす白人世帯が空き瓶を投げ込み怒鳴り込んでくる。ある午後、ブルーがドアを開けるとガレージの機材は粉々に破壊され、壁には人種差別的な罵詈雑言がスプレーで書かれていた。
アイタル・ライオンのいじられ役ビーフィ(トレヴァー・レアード)とブルーの同僚で白人でありながらジャマイカンカルチャーに深いリスペクトを示すロニー(カール・ハウマン)の存在が、単純に善悪で割り切れない物語という多面性を与えています。被差別コミュニティの中でも仲間から見下されているビーフィは学校からスピーカーを盗み、白人にキレてナイフを振りかざすが、ロニーがなんとか思いとどまらせる。逆恨みしてロニーをなじるビーフィ。ロニーはチームに居場所を無くす。
仲間が白人を恐喝して金を奪う場面に遭遇して嫌悪を表明するブルー。誰よりも暴力を嫌った男が、チームのアイデンティティであるサウンドシステムを破壊されたことで白人を刺してしまう。その直後にラスタファーライの祈祷所(?)に迷い込むが、ワンラヴと言われても空々しく感じてしまう。
初期のUKレゲエをバックグラウンドにして、移民コミュニティの光と影を描いた青春群像劇。後の大御所デニス・ボーヴェルが担当したサウンドトラックが画面のアクションとシンクロして出口の見えないストーリーにスタイリッシュでありながらコミカルな味を加えています。
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