2023年9月10日日曜日

DANCE CRAZE 2TONEの世界 スカ・ オン・ステージ!


The SpecialsMadnessBad MannersThe BodysnatchersThe SelecterThe Beat、UKスカシーンを代表する6バンドのライブ映画で、1980年3〜10月に英国各地のコンサートホールで撮影されている。手持ちカメラのダイナミックなカットと各バンドが1~2曲ずつ次々に登場する構成が映画全体に強烈なドライブ感を与えています。

白黒の市松模様がトレードマークの2TONE(ツートーン)は、1979年にThe Spacialsのリーダーでオルガン奏者のジェリー・ダマーズが立ち上げたレコードレーベルですが、黒人白人混成のスカバンドを総称するシンボリックな呼び名になりました(6バンドではMadnessだけ全員白人)。

ざっくり言えば、1960年代前半にジャマイカで生まれた牧歌的なリズムであるスカがイギリスに渡り、パンクと融合することでビートが倍速化して鋭くエッジが立ったもの。1980年前後の大不況に喘ぐ英国の若者たちに支持されました。僕がクラブ活動に勤しんでいた1985~88年頃にもツバキハウスやP.Picassoなんかでもかかり、フロアの熱が一気に上がったものです。

映画館の大音量で聴くと、The Selecterのリズムセクションが鬼のようにタイトでグルーヴィ。The Beatの "Ranking Full Stop" には今も血沸き肉躍る。The Bodysnatchersはガーリィ&キュート。Madness のバカ男子ぶり。みんな20代前半です。

The Specials はスカビートを基盤に置きながらアブストラクトなネクストフェーズに進んでいる感じがしました。演奏がどんなに熱を帯びても、フロアが爆発的に盛り上がっても、ひとり醒めた目をしているフロントマンの故テリー・ホール(2022年12月18日没)。本作の撮影の翌年にThe Specials を脱退すると、Fun Boy Three を結成してチェッカーズにヘアスタイル面で影響を与え、The Colourfield ではネオアコ、Terry, Blair & Anouchkaで美女二人をはべらせ、VEGAS では元Eurythmicsデイヴ・スチュワートと組む。どれも長続きせずアルバム1~2枚で解散してしまうのですが、すべてが名盤。どこを切ってもポップでスイートで大好きです。

4Kレストアのクリアな画像で観て、あらためて2TONEのバンドはビジュアルがこざっぱりしていたな、と思います。ブルーストライプのブラウスにタイトな白パンツのポーリン・ブラックThe Selector)は丸の内OLみたいだし、ボタンダウンシャツとフレッド・ペリーのポロシャツという前世代のちょいダサアイテムをお洒落なストリートウェアに押し上げたのは彼ら(とTalking Headsポール・ウェラー)の功績と言っていいでしょう。

人は自分が一番イケてた時代のファッションから逃れられない、とよく言われますが、僕にとってそれは2TONEだったんだな、と気づかされました。革パンツとか絞り染めTシャツじゃなくてよかったです。そんななかで圧倒的に薄汚くむさくるしいBad Mannersは当時も今もちょっと苦手だな、と思いました。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿