2011年6月10日金曜日

TRANS FORMATION

梅雨の晴れ間、上弦の月が夕空に映える一昨日の水曜日。外苑前のギャラリーneutron tokyoへ。三尾あすか&三尾あづち 双子の姉妹展2011"TRANS FORMATION"のオープニング・パーティにおじゃましました。

昨年末neutron tokyoのグループ展に姉妹共作を出展していましたが、質・量ともにこれだけの作品をまとめて東京で観られるのは、おそらく今回がはじめて。

オープニング・パーティということで、3階建のギャラリーのソファのある2階、作家本人たちのいる3階にほとんどの来客が集中していましたが、そのために1階に展示されている大きくて迫力のある作品が、ゆっくり見られました。

アウトサイダー・アートとkawaii系のミッシング・リンク。透明度の高い画材が幾層ものレイヤーを構成して、複雑な奥行きを持ちながら、鮮やかな色彩によって、全体の印象はポップなもの。 時折書き込まれる文字が、レイヤーの合間から見え隠れしている。まるで感情の表出とその隠蔽が同時に行われているかのように。

そして圧倒的な情報量とスピード感。混沌と均整。

姉のあすかさんは右利き。星をモチーフにした抽象表現、光る糸を使った繊細な刺繍作品も美しく。妹のあづちさんは左利き。「でも学生の頃から、(利き手ではない)右手で描く線が好きになったんです」。それでいまは、主に右手でフォルムを描き、左手で色彩をつけているそう。へんてこキュートなクリーチャーたちはあづちさんが描いています。

ふたりはまだ25歳。neutron代表石橋圭吾氏によると「いまだ発展途上」ということですが、旬の作家だけが放つキラキラした輝きで会場が一杯です。会期は6月26日(日)まで。そのあと、名古屋、神戸と巡回します。コンテンポラリーの先にあるもの。その予兆を体感したい方は是非会場へ!

 

2011年6月4日土曜日

マイ・バック・ページ

よく晴れた6月らしくない土曜日の午後、ひさしぶりに映画館へ。ユナイテッドシネマ豊洲にて、『マイ・バック・ページ』を鑑賞しました。 川本三郎の自伝的小説を、山下敦弘監督が映画化したこの作品。妻夫木聡松山ケンイチのダブル主演という話題性もあって、単館ではなく、シネコンでも公開となった模様。

優柔不断な泣き虫を演じたら当代一の妻夫木聡がナイーブで感傷的な駆け出しジャーナリスト、いまやコミック原作映画には欠かせなくなった松山ケンイチが口ばかり達者で思想も行動力も無いなんちゃって革命家。そのふたりの友情と裏切りを、学生運動全盛期の1969~72年、東京を舞台に描いています。

同じ山下敦弘監督の最近作、『リンダリンダリンダ』『天然コケッコー』は、よくできた青春アイドル映画で、どちらも好きな作品です。前者だとペ・ドゥナ、後者では夏帆(左利き)。今回は忽那汐里の魅力を最大限に引き出していると思います。

妻夫木聡演じる雑誌記者沢田が、その雑誌の表紙モデル倉田眞子役の忽那汐里を誘って、ジャック・ニコルソンの『ファイブ・イージー・ピーセス』を観に行くシーン。前夜酒場で同僚と喧嘩して顔じゅう痣だらけの沢田は、先に席についた眞子との間をひとつ空けて座り、空席に鞄を置きます。その鞄をどかして、沢田の隣に席を詰める眞子。映画のあと喫茶店で言う「男の人の泣く姿が好き」という台詞。日曜日の無人のオフィスで再会したときの事件に対するコメント。いわゆる男子が思い描く理想の女子像とはちょっとずれているかもしれませんが、こういうことされたら、言われたら、ぐっときちゃうだろうな、と。

勤め人時代の妻夫木聡のネイビースーツ姿の居住い正しさ。フリーランスになってからのスイングトップとチノパン姿の貧相さ。この対象的な衣装も印象に残りました。

それから、ワンシーンだけ登場する東大全共闘議長唐谷義朗役長塚圭史の格好良さといったらないです。

それにしてもこの時代の男たちの、よく汗をかき、よく煙草を吸うこと。制汗デオドラントどころか冷房すらなかった時代の男だらけの真夏のオフィスはさぞかし汗臭かったことでしょう。そして、1970年に煙草を吸って彼らがつぶしていた手持ち無沙汰な時間を、2011年の僕たちは何に置き換えているのか。携帯電話かなあ。


 

2011年5月23日月曜日

13の水

午後の激しい雨も夕方には小降りになって、下北沢のleteさんへ。triola波多野敦子さんのソロアルバム『13の水』REMASTERED EDITION リリース記念ライブを鑑賞しました。

『13の水』に収録されている全曲の収録順演奏と並行して、CDジャケットを手がけた染色家の吉田容子さんが布のインスタレーションをライブ制作していくというライブ。CDではピアノやアコーディオンが演奏するパートもtriolaのヴァイオリンとヴィオラで再アレンジされています。

元々は2003年にCD-Rで制作された『13の水』は、いまのtriolaのダイナミズムとはすこし異なり、ビートレス中心でどちらかといえばアンビエント寄りの音楽です。8年の歳月を経て、とても丁寧に大事に演奏された9曲。静かなメロディと相まって、波多野さんのロマンチックな一面を垣間見た反面、どんなにゆっくりと静かな音楽にも、正確で強靭な内的ビートの痕跡とでもいうようなものをくっきりと浮かび上がらせるのが、波多野さんと現在のtriolaの個性なんだな、とあらためて気づかされました。

純白のワンピースで、会場をふわふわと飛び回る吉田容子さんは、さながら繊維の森の妖精といったところ。triolaのふたり、波多野さんと、手島絵里子さんが着ていたのも吉田さんが染めた、繊細で美しい衣装。夕陽のような、乾いた血のような橙色は、梨木果歩の小説『裏庭』の主人公テルミィがパラレルワールドの貸し衣装屋で選んだ、それ自体が傷であり、治癒でもあるような特別な服を思い起こさせるものでした。

ちょっとセンチメンタルないい気分で帰宅して、いろいろ検索していたらこんな動画が。楽しい!

 

2011年5月14日土曜日

メイル・オーダー

気持ちの良い五月晴れの午後、ゆりかもめに乗って東京ビッグサイトへ。第33回デザインフェスタに行ってきました。お目当てはA-26ブースのatelier Bacchusこと田代幸正さん。 20世紀の終わりに、American Book Jamというリトルプレスのパーティで出会った銅版画家です。

銅版の端切れを再利用したアクセサリを当時から制作していましたが、最近はむしろそちらが本業になっているみたい。おたがいの近況など、しばし作者ご本人と談笑。爬虫類や昆虫、化石などをモチーフにした繊細な作品群を白い壁面に並べたブースには、若い女の子たちがひっきりなしでした。

デザインフェスタは明日(5/15)まで開催中です。お出掛けの予定の方はA-26にお立ち寄りください!

そして、ご報告。4月11日のエントリーでご紹介した『続・同行二人』のライヴ盤が、僕の詩集3タイトルとあわせて、古書信天翁さんから通信販売でお求めいただけるようになりました。遠方の方も是非よろしくお願いします! 詳細はこちらから⇒http://booksalba.exblog.jp/15524289/

 

2011年4月22日金曜日

レクイエム

一昨日は、震災復興支援チャリティライブ re:generations(仮)@場 横寺inうす沢でした。お越しくださった皆様、この惑星のどこかで気にかけていてくれた皆様、ありがとうございました!

このような機会を提供していただいた帽子作家の原田紀さん、ギャラリーのオーナーご夫妻、共演者のtriola波多野敦子さん、手島絵里子さんにも深く感謝したいです。

会場の古い一軒家の造りがとてもかわいらしく、弦楽の響きも素敵でした。ドリンクとともにふるまわれた天然酵母パンもおいしく、終演後にお買い求めになるお客様も多数。

このお話を最初にtriolaの波多野さんに持ちかけたときに、震災で犠牲になった方たちへのレクイエムとして、ジョン・レノンの"Happy Xmas (War Is Over)"をまったく季節外れと知りながらリクエストしました。波多野さんの歌声が手島さんのヴィオラに乗ってきっと届いたはずです。

僕は当初はいつもどおりに、と思っていたのですが、存命の詩人では最も敬愛していた岸田衿子さんが4月7日に82歳で亡くなったことがあり、衿子さんの「忘れた秋Ⅳ」を急遽演目に加え、波多野さんに伴奏をつけてもらいました。

そんなふたつのレクイエムが響きましたが、けっして神妙な会ではなく、会場のお客様、みなさん笑顔で聴いてもらえたと思います。

今回の入場料7,000円、それに加えて、帰宅したら当日会場に来られなかった旧友から「feeとして」と1,000円が送られてきており、合わせて8,000円を、被災地で活動するNPO/NGOを支援しているThink The Earth基金に寄付。昨日口座に振り込んできました。

みなさんの想いが届きますように。一日も早い復興を願っています。


 

2011年4月11日月曜日

ライヴ・レコーディング

東京の桜はいまが満開。週末あたりから気温も上がり、ようやく春らしくなってきました。前回前々回のエントリーでも紹介した『続・同行二人』3月26日のライヴ録音をCD化し、当日の会場である古書信天翁さんに納品してきました。

当日都合がつかなくて、泣く泣く御来場を断念した皆様、ライヴも観たけれどもういちど聴きたいなっていう皆様、お茶の間でお楽しみいただけるようになりました。

ディスクには当日の演目20篇すべてが高音質ステレオ録音で収録されています。松浦年洋さんのキレのいいギター、中村"ルイーザ"真美さんのパーカッションの豊かな響きも堪能できます。もちろん村田活彦さんのピアニカとアルト笛も!

お値段は当日の入場料と同額の1000円(税込)、同じくそのうち半額をThink The Earth基金を通じて東日本大震災の被災地に寄付します。

6月末まで古書信天翁の店頭のみの限定販売です。どうぞお買い逃しなさいませんように!

 

2011年4月2日土曜日

re:generations(仮)@妄想中華雑貨店

エイプリル・フールも大過なくやりすごし、東京の桜はようやく一分咲きといったところです。 みなさんいかがお過ごしでしょう。僕は元気です。『続・同行二人』のライブ音源の編集もひと段落つきました。

ところで。次のライブのお知らせです。

二十歳のころからの友人で、帽子作家の原田紀(ハラダノリ)さんが、YASUMI-YA名義で半年毎に開催している『妄想中華雑貨店』。ノリ先生の作品が好きで、何度かおじゃましているのですが、今回2011春夏コレクションの展示会場で、チャリティライブのお声掛けをいただきました。

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震災復興支援チャリティライブ
re:generations(仮)

2011年4月20日(水)19:00開演
音楽 triola(波多野敦子vn、手島絵里子va)
朗読 カワグチタケシ
料金:1000円(1ドリンク付)
会場:うす沢「場 横寺」東京都新宿区横寺町47
   03-5228-6758 http://usuzawa.com/
   都営地下鉄大江戸線牛込神楽坂駅A2出口徒歩3分

会場の地図はこちら↓
http://usuzawa.com/outline.html ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

原田紀さん(YASUMI-YA)は、このブログでも何度か紹介していますが、自然素材を使用したチャーミングで実用的な帽子と鞄、服飾雑貨を制作販売しています。お洒落女子必見!

triolaさんとは昨年夏以来の共演です。ヴァイオリンとヴィオラのデュオで、他に類のないグルーヴィかつ繊細で美しいアンサンブルを奏でます。作曲、ヴァイオリン、ヴォーカルの波多野敦子さんは先月ソロアルバム『13の水』をリリースし、各方面で高い評価を得ています。僕自身triolaの音楽が大好きなので、この共演が本当に楽しみです。今回は節電のため、完全アンプラグド。レアなアレンジが聴けるかもしれません。

会場のうす沢さんは陶器のギャラリーです。神楽坂の奥座敷的なロケーションになりますので、是非ウェブサイトの地図をご参照のうえ、迷子にならないようにいらしてください。

なお、今回のライブチャージは東北地方太平洋沖地震の被災地に寄付します。どうぞよろしくお願いします!