2011年3月6日日曜日

三尾あづち 個展 “Spring has come with Rabbits ??”

ぽかぽか陽気の日曜日。地に足の着かない感じも春らしく。渋谷西武B館で開催中の西武渋谷店&neutron presents 三尾あづち 個展 “Spring has come with Rabbits ??”。週末は公開制作というDMに誘われ、雑踏を分けて覘きに行ってきました。

岐阜県出身の25歳、主に関西で活躍する三尾あづちさん(左利き)の作品は、昨年末neutron tokyoのグループ展で拝見していました。今回の展示も、スカルやゴーストのようなヘンテコでキュートな立体作品と、対照的に実は正確な技巧に裏打ちされた平面作品。どちらも彼女のスタイルで貫かれて、ポップでやわらかく楽しい世界を構成しています。

百貨店の婦人服フロア、上りエスカレーターのすぐ前の人通りの多いエリアにブースを構え、ときどきお客さんと談笑しながら、楽しげに制作する姿が印象的でした。

会場にいらしたニュートロン代表の石橋圭吾さんと短い時間ですが話しました。京都と東京とアジアのアートシーンのこと、ニュートロンの今後の展開のこと。石橋さんのお話をうかがうといつも、夢を現実にする力を感じます。楽しみがまたひとつ増えました。ありがとうございます!

 

2011年3月2日水曜日

続・同行二人 A POETRY READING SHOWCASE Ⅱ

今夜は冷えますね。三寒四温。詩の朗読会のお知らせです。

昨年春、清澄白河そら庵さんで開催してご好評をいただいた、村田活彦さんとの朗読二人会『同行二人』の続編を開催します。

畏れ多くも、芭蕉と曾良にみずからをなぞらえた、男ふたり旅。大川端は深川芭蕉庵から西に向って出発し、一年かかってようやく日暮里まで辿り着きました。

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続・同行二人 Zoku Dogyo-Ninin A POETRY READING SHOWCASE Ⅱ
2011年3月26日(土)17:00開演
出演:カワグチタケシ、村田活彦、松浦年洋(g)、中村“ルイーザ”真美(per)
料金:1000円
会場:古書信天翁 〒116-0013 東京都荒川区西日暮里3−14−13-202 
    03-6479-6479 http://www.books-albatross.org/

JR・京成日暮里駅西口出て道なり徒歩5分夕やけだんだん手前左側二階

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会場の古書信天翁(あほうどり)さんは、元古書ほうろうのスタッフが昨年初夏にオープンした素敵なお店。書棚を見ればきっとみんな、好きになっちゃうと思います。谷中銀座商店街の入口のちょっと手前。にぎやかで楽しい一角です。

村田活彦さんは前回に引き続きギター(イケメン)とパーカッション(美女)をバックに、グルーヴ全開で。僕は今年に入って書いた新作中心のラインナップになる予定です。

谷中は桜の名所。本日(3/2)現在の東京の桜開花予想は奇しくも3月26日。当日は早めの開演時間にしていますので、お天気がよければ、終演後にみんなでお花見しましょう。

二年目も早春の午後に。ご家族連れもおひとりさまも、春の下町散歩のついでに、ふらりとご来場ください!

◇村田活彦(ムラタカツヒコ)
出版社の宣伝営業マン、たまにポエム詠み。平均寿命も折り返し地点。
隅田川は永代橋のほとりに住んでます。『月刊ポエム係長』創刊。
http://blog.goo.ne.jp/inthenameofmyself
http://twitter.com/katsuhikomurata

◇カワグチタケシ(カワグチタケシ)
つぶあん派。というよりも、つぶあん原理主義者。
詩集が大好き。豊洲運河と東雲運河の交差するあたりに住んでいます。
http://kawaguchitakeshi.blogspot.com/
http://twitter.com/rxf13553

※3月13日13:11追記
当日会場で販売するカワグチタケシ詩集の売上を全額、東北関東大震災の被災地に募金します。対象は「twenty-two sonnets and some prose(s)」「都市計画/楽園」「ユニバーサル・ボードウォーク」の3タイトル。すこしでも困っている人たちの役に立てるように。こちらもよろしくお願いします!

 

2011年2月27日日曜日

ふたつの声

初夏のような金曜日から、すこしだけ冬に戻った土曜日。マイクスタンドを担いで、山手線で日暮里まで。古書信天翁で開催された『信天翁倶楽部詩人の部Vol.0 ふたりの朗読会』を鑑賞しました。

3KからTKレビューと、10年来いっしょに朗読イベントを開催してきた小森岳史プロデュースのこの会には、これまた10年来のファンである飯田有子さんプリシラ・レーベルの盟友佐藤わこが出演。会場の信天翁さんは、谷中銀座商店街の入口、夕やけだんだんのすぐ上のビルの2階にある、夕陽のきれいな古書店です。

小森さんの紹介で、まず登場したのが佐藤わこさん。ゆったりとした、でも時々エッジの効いたMCをはさんで自作の詩を数篇朗読。1997年5月に江東区文化センターではじめて彼女の声を聞いたときの衝撃を、いまでもはっきりと思い出せます。小さな金属片がぶつかりあうときにたてるような美しい声の響き。そして正確な呼吸に裏打ちされた圧倒的な描写力。14年前と変わったところ、変わらないところ。当時横組みだった朗読テキストは、今回は縦組みになり、それが発声により安定感を与えていたように思います。

わこさんの詩には、食べものや食事のシーンがよく出てきます。それが、ディスコミュニケーションや戦争や殺戮を主題にした詩作品にも、光とあたたかみを与えています。

飯田有子さんは歌人です。短歌という定形のなかをこれだけ自由に行き来する人を他に知りません。容姿の美しさ、殊に口紅をつけていてもいなくても真っ赤な口唇は、腕利きの職人が細工したお菓子にも似て、内側から光を放っているよう。その口唇から発せられる声は、わこさんとは対照的に不規則に揺れ、その揺らぎが心地よく会場の空気を満たしていきます。

書店の本棚の背表紙に印刷されたタイトルが、隣の本と全く関連なく、しかも等価に並んでいる状態が好きだというアリコさんの羅列フェティシズム全開の演目。自作の短歌も、多和田葉子の短編小説も、ツイッターのTLも、徒然草も、アリコさんの内側では同階層にクラシファイされているのでしょう。

ひとつの事象を複数の視点から切り取ることで詩的現実を立ち上げようとするわこさん、多様な事象を事象のまま並列することを勇気を持ってやりきろうとするアリコさん。対照的なコンセプトとパフォーマンスが響き合い、冬から春に移ろう季節にぴったりな、美しい朗読会でした。

同じ古書信天翁さんで、ちょうど一ヵ月後の3月26日(土)に、村田活彦さんとカワグチタケシの朗読二人会『続・同行二人』を開催します。会場のすぐそばに、大きな染井吉野の古木があります。老朽化のため今年を最後に伐られてしまうこの桜が、来月の朗読会当日に咲いているといいな、と思っています!


 

2011年2月12日土曜日

猫の駅

積雪の予報が外れた三連休。銀座7丁目のギャラリーボザール・ミューで開催中のイラストレーター佐久間真人さんの個展『猫の駅』を鑑賞。

愛知在住の佐久間さんは、毎年この時期に東京で個展を開きます。去年うかがったときも雨が降っていました。

佐久間さんが描く猫の足跡のついた雪の風景が好きなので、ちょうど会場にいらしていたご本人に「雪が積もったら、絵によく合って素敵だったんですけどねー」と言ったら、「それだとお客様が来てくれませんからねえ」と笑っていました。

集英社の『青春と読書』の表紙が気に入って 一昨年、原画を購入して自宅の壁にかけています。佐久間さんは、毎回作品のスタイルが大きく変わるタイプの作家ではありませんが、作品自体の持つノスタルジックなトーンと相まって、その変わらなさも魅力のひとつになっていると思います。

この投稿の添付画像の個展のDMですが、たくさんの猫たちのなかに一匹だけネズミがいます。「カメラ目線のネズミを初めて描きました」と笑う佐久間さん。変わらなさのなかにも微小な変化を置いて、それが何年か後にはまったく違う作品群になっていくのかと、観ている僕もゆっくり時間をかけて楽しんでいきたいな、と思いました。

 

2011年2月6日日曜日

呼吸

立春を過ぎて、寒さがだいぶやわらぎました。二月最初の土曜の夜、下北沢のleteさんへ。triola弦楽コンサート"Resonant #3"を鑑賞しました。

昨年夏、ニュートロン東京で共演して以来、10月12月、今回と2ヶ月毎にtriolaを聴いていますが、毎回微妙に異なる表情を見せて楽しませてくれます。

昨年末の関西東海ツアーは連日連夜のハードな日程でした。また都内でも数々のステージをこなしていますが、それらを経て、アンサンブルが以前より更に強固なものになってきたように感じます。ブレークのタイミングひとつとってみても明らかに。たとえていうならば「対話」から「呼吸」へと。

以前のライブでは、波多野敦子さん(AB型)のヴァイオリンがとにかくタテノリで、手島絵里子さん(A型)のヴィオラが均した土台にガツガツとツルハシを打ち込んでいるような印象でしたが、今回の何曲かで波多野さんは、意識してか、無意識か、ところどころタメの効いたリズムも使いながら、より大きなグルーヴをつかもうと模索しているかのよう。

今回は歌ものも2曲。自作のワルツとバート・バカラックの"(They long to be) Close to you"。カーペンターズのヒット曲のカバーです。雨の日に外で遊べなくてすねている子どもみたいなヴァイオリンの音色とは打って変わって、波多野さんの歌声には不思議な包容力があります。息の多いウィスパーヴォイスでありながらソウルフル。そして、暖炉に当たりながら静かに本を読んでいるような、安定感のある手島さんのオブリガート。

波多野さんのバリシルクのサテンのカーゴ・スカートのマリンブルーと、手島さんの真赤なカットソーの色彩の対比の鮮やかさそのままに、肖像音楽をはさんで12曲が演奏されました。

次回leteのライブは3月19日(土)。波多野さんのソロアルバムのリリースパーティということで、ジャケットを手がけた染色作家吉田容子さんも加わって、いつものtriolaとは違うパフォーマンスが見られそう。楽しみです!

 

2011年1月30日日曜日

あどけない話

気づけば1月もそろそろ終わり。東京は乾燥した日々が続いています。京浜東北線で日暮里まで。昨年オープンした古書信天翁さんで初めての詩のイベント『Pippoのポエトリーアワー 平田俊子×Pippo ~詩のトークと朗読の夕べ』におじゃましました。

第一部は「高村光太郎とあそぼう」と題して、Pippoさん平田俊子さんが『智恵子抄』から好きな詩をそれぞれ3篇ずつ朗読し、それにまつわるトークをするという趣向。 高村光太郎に対するPippoさんの直球の愛情、平田俊子さんのアンビバレンツがまぶしく対照的で、客席も交えてなかなかの盛り上がり。

平田さんの「レモン哀歌」評。「トパアズいろの香気の向うに嘘の匂いを嗅ぐ」。「人に」には、「そんなこと作品にしないで本人に言えばいいじゃないか」。切れ味鋭く、かつユーモアも交えてばっさりと、爽快でした。才気溢れる方です。

生前、高村光太郎は、千駄木界隈にアトリエを構えていたそうです。古書ほうろうさんの裏の坂を上がったあたりだとか。3K6の開演前に、Qさんと小森さんとギターの練習をした公園のへんかな。

第二部は、平田さんとPippoさんがそれぞれ自作の詩を朗読。ここでもふたりのコントラストが鮮やかでした。ストレートな言葉をシンプルに発声するPippoさん、客席へ語りかけているのに、いつのまにか詩が立ち上がっていく平田さん。ゴッホの「アルルの寝室」に描かれた家具を家族に見立てた平田さんの「私見、ゴッホの「寝室」」 が特に印象に残りました。

打ち上げのお料理は階下の中華料理店深圳さんからのケータリング。たいへんおいしくいただきました!

今日の会場古書信天翁さんで、3月26日に村田活彦さんと僕とで『続・同行二人』を開催します。こちらの詳細はまたあらためて。

 

2011年1月4日火曜日

海炭市叙景

2011年最初に劇場で観た映画は、熊切和嘉監督の『海炭市叙景』、渋谷ユーロスペースにて。年のはじめに良い映画を観ました。

1990年に41歳で自殺した作家、佐藤泰志の遺作となった『海炭市叙景』は、作家の故郷函館をモデルにした海炭市という架空の町を舞台とする18編の連作短編小説集。そのうちの5編「まだ若い廃墟」「ネコを抱いた婆さん」「黒い森」「裂けた爪」「裸足」を中心に物語を再構成して152分の映画にしています。

閉鎖される造船所の作業員、再開発のため立ち退きを迫られる老女、妻の不貞に苦悶するプラネタリム職員、家庭崩壊しているガス屋の若社長、売れない浄水器のセールスマン。登場人物のいずれも、小さな街のなかで、孤独で、失敗を繰り返し、前途が見えず、それでも生き続けるしかない。救いのない暗い話ですが、鑑賞後には不思議と豊かでさっぱりした感触が残ります。

おそらくそれは、ロケ地函館の、フィルム撮影され、すこしざらついた美しい風景と、だめな登場人物たちを「いいんだよ。大丈夫だよ」と見守るようにやわらかく包み込むジム・オルークの音楽の力が大きいのでは。 ラストシーンの路面電車を中心にかすかに交錯する登場人物たちの人生、そして老猫グレコの背を撫でる老女の皺々の手のアップに、エレピ、アコギ、ビブラフォンが重なって、登場人物たちも、観ている僕も、大きな赦しを得たような感じがしました。残念ながらサウンドトラック盤は出ていないようですが、音楽の断片が聴ける予告編はこちら

役者では、失業した造船所員の妹役を谷村美月が好演。若い女優さんですが、すくない台詞とわずかな表情の変化で多くを伝える力を持っていると思います。 それと、加瀬亮は作業服姿がものすごく似合う。「ありふれた奇跡」といい、「おとうと」といい。

僕が佐藤泰志の存在を認識したのは二年前。福間健二が1990年(佐藤泰志の没年)に出した詩集『地上のぬくもり』を読んで。『海炭市叙景』の18の章題は、親友であった福間健二の詩のタイトルから採られていると小学館文庫の解説で福間さん本人が書かれていました。僕の持っている三冊の詩集には収録されていませんでしたが、「まだ若い廃墟」という素晴らしいタイトルの詩を是非読んでみたいものです。

そんなこんなで、2011年。どうぞよろしくお願いします!