2023年2月1日水曜日

ミスタームーンライト 〜1966 ザ・ビートルズ武道館公演 みんなで見た夢〜


オープニングは英国リバプールのキャバーンクラブザ・ビートルズの元秘書フリーダ・ケリーが語るブレーク前夜5人組時代。そして当時東芝音楽工業でザ・ビートルズ担当ディレクターだった髙嶋弘之氏

1963年にレコードデビューし、英米で大ヒットを飛ばしていたザ・ビートルズを如何に日本で売り出し、1966年の武道館公演を実現させたか。当時の関係者を中心にインタビューで検証するドキュメンタリー映画です。

第二次世界大戦の傷跡がまだ残る東京。行動成長期の熱気が伝わってくる。年寄りの自慢話ばっかりじゃないか、という否定的なレビューも読みましたが、当時の若手も56年経って80~90歳代になっているわけですから、存命中に証言を収集しておく意味はあると思います。

武道館公演は実はライオン歯磨と日本航空の企業タイアップ色の強いものだった。往復はがきで当選の返信をしたら何百枚も宛先不明で返送され、余ったチケットを赤坂のナイトクラブで売りさばいた。右翼団体がポップスターの武道館に反対して街宣活動をしていたが、武道館総務部は来日に好意的だった。安全のためアリーナに客席を設けなかったが、前座を終えた尾藤イサオ内田裕也が出ていったら消防士がパイプ椅子を用意してくれて最前列で観た。など面白いエピソードがありました。

後の世代の研究家では、国立国会図書館に通いつめ、新聞雑誌182万ページを閲覧し、キョードー東京の故永島達司氏に公演3ヶ月前にツアマネのビック・ルイスから突然の電話で来日オファーがあったという通説を覆した大村亨氏がヤバい。

現役ミュージシャンでは井口理KingGnu)、峯田和伸銀杏BOYZ)、奥田民生が登場します。バンドとしての佇まい(井口)、ハートに刺さる衝撃(峯田)と捉える若い二人と比較して、僕と同年生まれの奥田民生の分析的な聴き方に痛く共感してしまいました。

ザ・ビートルズの演奏シーンはわずかで、ミスタームーンライトもかからず、ご存命のポール、リンゴのインタビューはなく、前座を務めたザ・ドリフターズ加藤茶(Dr)、高木ブー(Gt)も出演しません。その点はあらかじめご注意ください。

街頭インタビューで5歳の男児から101歳のおばあさんまでおよそ100人にザ・ビートルズで一番好きな楽曲を尋ねるエンドロールは感動的でした。YesterdayHey JudeLet It Beなど教科書に載る定番曲はもちろん、Yellow SubmarineOb-La-Di, Ob-La-Daが意外に人気でした。僕だったらどの曲を答えるだろう、誰も選んでいなかったのだと、Here, There and EverywhereA Day In The Lifeかな。



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