2023年2月10日金曜日

金の国 水の国

金曜日。TOHOシネマズ錦糸町オリナス渡邉こと乃監督作品『金の国 水の国』を観ました。

豊かな砂漠の国アルハミトと隣接する貧しいが水が豊富な国バイカリは何百年も戦争状態にあったが、神の仲裁により、アルハミトの最も美しい娘をバイカリに嫁入りさせ、バイカリの最も賢い青年をアルハミトに婿入りさせる取り決めをしている。

その年、バイカリの貧しい学者の子で技師のナランバヤル(賀来賢人)にアルハミトから子猫のオドンチメグが、アルハミトの第93王女サーラ(浜辺美波)の許にバイカリから子犬のルクマンが送られた。城壁の穴をくぐってバイカリに迷い込んだルクマンを追って国境を越えたサーラはナランバヤルに出会う。

中世の中近東の架空の国を舞台にしたラブロマンスであると同時に、アルハミトの開戦派国王ラスタバン三世(銀河万丈)と祈祷師の右大臣ピリパッパ(茶風林)vs 反戦派の第一王女レオポルディーネ(戸田恵子)とイケメン俳優で左大臣のムーンライト・サラディーン(神谷浩史)の政争、ならびに水資源と通商交易を巡る治水土木の物語でもある。絡み合うこれら複数の要素を坪田文の脚本が2時間に上手くまとめています。

本当の悪役が出てこない。最初きらびやかで享楽的に見えるサーラの姉たちも実は国を憂い平和を求めているし、軽薄そうなお飾り宰相と見えたムーンライトが改革の旗手となる。画面は色彩豊かでEvan Callが手掛けたアラビア音階の劇伴も美しく格調があります。

「僕の建築は千年先まで人々でにぎわうものでなくてはならないんだよ」という建築家アジーズの気概、黒いベールから目だけ覗く神出鬼没の密偵ライララ(沢城みゆき)もいい。宣伝通り優しい気持ちになれる夢があって見ごたえのあるアニメでした。

 

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