冬晴れ。マイクスタンドを担いで都営地下鉄三田線で白山へ。JAZZ喫茶映画館にて開催された詩の朗読『ピアニシモ、ラルゴ2』に参加しました。
詩の朗読会はいつでも第一声が特別に大事だと思います。この日の冒頭は「触れるなら/届いたのか/届かなかったのか/わからないほど/淡く」という小夜さんから始まる、前回の『ピアニシモ、ラルゴ』のときに書かれた二人の連詩。
そして石渡紀美さんのソロ。「自分の詩を読むというのは、ともすれば傲慢にもなってしまう。自分の詩だから自分ではわかっているけれど、独りよがりだったり、速すぎたり。聴いている人にも気を配らなくちゃならないなと思うようになった」。実際に朗読のテンポはスローダウンし、ひとつひとつのフレーズがより受け取りやすくなったと感じます。
一方、小夜さんは「伝えたいということを伝わってもらいたいように書くと伝わって当たり前になってしまうから暗号みたいに書いて伝わる人に伝わってほしいと思っていた」と言う。ひと呼吸ごとに置かれる言葉と声の湿度は心地良く、インティメートな触感の秘密を教えてもらったような気がしました。
短い休憩を挟んで再び二声の朗読へ。「きっぱりと来たおしまいをはじまりへつなぐように/私より早く大人になりはじめた少年が恥ずかしげに会釈する」(fall into winter2)、「四月が流れていく/側溝に流れきれずに/八重桜の花びらがたまっている」(春から夏へ)。二篇の連詩では、異なるイディオムとコンテクストを持ち、対照的な声質の二人が、スープ、永遠に来ない春、靴ひも、といったキーワードを介して共振する。
小夜さんの「ゆうべ、夜は」、紀美さんの「ひかり(Winter's Tale)」の二声のシンフォニアは相互理解とリスぺクトの賜物。僕の「fall into winter」を二人の声で聴けたのもうれしかった。ずっと続いてほしい朗読二人会です。
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