2022年9月4日日曜日

さかなのこ

残暑。TOHOシネマズ日比谷にて沖田修一監督作品『さかなのこ』を観ました。

夜明け前、天井の高い洋館のヘッドボード付き寝台で目覚めたミー坊(のん)は青と黄色のウェットスーツに着替え玄関を出る。漁船に乗り込みバラエティ番組の収録に臨む。

時は遡り小学生のミー坊(西村瑞季)は魚に夢中。母親(井川遥)と水族館に通い、蛍の光が鳴り終わるまで水槽の前を離れない。海水浴に来て大蛸を捕まえるが、家で飼いたいというミー坊をスルーして、父親(三宅弘城)は路肩に叩きつけて締め、家族みんなでゲソを浜焼きにして食べる。

さかなクンの自伝的エッセー『さかなクンの一魚一会 ~まいにち夢中な人生!~』を原作にした本作で、総長(磯村隼斗)、カミソリモミー(岡山天音)、狂犬(柳楽優弥)のヤンキー高校生役に実力派アラサー俳優を配し、性別も年齢も超越したミー坊(=さかなクン)の純粋さを記号的に強調させています。そういう意味では歌舞伎っぽい。

同じく沖田修一監督の昨年夏公開作品『子供はわかってあげない』は田島列島のカオスでリリカルな原作漫画を上白石萌歌細田佳央太で実写化した青春映画の傑作でしたが、本作はほぼ同じ上映時間でありながらやや冗長に感じます。さかなクン本人が幼少期のミー坊に影響を与える役で出演していて、さかなクン以外の何者でもないビジュアルのため、主人公の設定の理解を難しくしてしまっているのも要因のひとつかと思います。

阿佐ヶ谷姉妹のマネージャーになったり永野芽郁の共同経営者になったりとひっぱりだこの前原滉が総長の右腕的ヤンキーを演じています。大人になった同級生モモコ役の夏帆(左利き)が変わらずかわいいです。

 

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