2022年9月15日木曜日

MONK モンク

木曜日。角川シネマ有楽町 "Peter Barakan's Music Film Festival 2022" にてマイケル・ブラックウッドクリスチャン・ブラックウッド監督作品『MONK モンク』を鑑賞しました。

1968年、ニューヨークのジャズクラブVillage Vanguardで額に汗を滲ませてピアノと向き合うセロニアス・モンク。自作曲であり当時既にスタンダードナンバー化していた "Round Midnight" から映画は始まる。そしてコロムビアレコードのスタジオのモンク・カルテット。"Boo Boo's Birthday" を演奏しているので、アルバム "Underground" のセッションと思われる。

今年1月に観た同監督の『モンク・イン・ヨーロッパ』と二部作のこの作品も同時公開していたのですが、日程的に逃していたのを今回あらためて2本続けて観ることができました。

スタイリッシュなモノクロ映像にナレーションやテロップはなく、ミュージシャンを追い続ける。演奏する佇まいや指先、表情が言葉以上に雄弁に伝えるエモーションがある。ステージで楽屋でスタジオで路上で空港で51歳のモンクはやたらと回転しています。背骨を軸に両手を広げてぐるぐると、時にふらつきながら。

1950年代に名声を確立し、撮影当時にはどこに行ってもレジェンドとしてリスペクトされていますが、長く患っていた双極性障害の悪化によって、"Underground" と同じ1968年にリリースしたビッグバンド作品 "Monk's Blues" を最後に1982年に64歳で亡くなるまで実質的な音楽活動をしていません。その意味でこの2本のフィルムは音楽的最晩年を記録したものと言えます。

高度な知性と理論に裏打ちされたモンクの音楽ですが、それに反して極めて粗野な外観をしています。当時の聴衆がその相反性をどう感じていたのか、思いを馳せずにはいられませんでした。


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