2022年4月23日土曜日

猫の心のなかの街

四月の夏日。ギャラリー銀座で開催中の佐久間真人展『猫の心のなかの街』にお邪魔しました。

愛知県在住の人気イラストレータ―佐久間真人さんの東京の個展にはじめてうかがったのは確か2009年か2010年のこと。以前は銀座七丁目のギャラリー・ボザール・ミューで毎年2月に開催されていました。

ボザール・ミューのご高齢のオーナーが引退後、2016年から二丁目のギャラリー銀座に場所を移して継続していましたが、昨年は新型コロナウィルス感染拡大の影響で中止、更に今年2月のまん延防止等重点措置を経て、今回4月に時期をずらし2年ぶりに開催されました。

佐久間さんは出版物の挿画や装幀を多く手掛けており、日本人作家や翻訳のミステリのお仕事が中心なのですが、最近は時代小説の表紙と挿画で和のテイストや東欧の架空の少数民族を描いたスラブ風の細密画など、実績に安住しないで表現の幅を拡げているところが人気の秘訣だと思います。

一昨年2020年4月の村田活彦さんとの朗読二人会『同行二人#言葉とともに A POETRY READING SHOWCASE X』は佐久間さんの連作イラストレーション『言葉とともに』とコラボレ―ションでした。直前に発出された最初の緊急事態宣言ため、急遽会場のCafe GINGER.TOKYOさんからの無観客配信ライブとなり、作品をお借りした佐久間さんに直接お礼を言えてなかったので、今回ご挨拶できてよかったです。

佐久間さんも当日の配信をご視聴いただいていたとのことで「面白かったです。ああいう見せ方もあるんだな、と思いました」とうれしいコメントをもらいました。あの頃は確かに誰もが配信ライブの方法を模索しており、我々もぶっつけ本番に近いものでしたが、それだけに忘れかけていた初期衝動を取り戻す良い機会になったといまでは思っています。

いつお会いしてもにこやかな佐久間さんとセピアにくすんだ色彩が心地良くずっと眺めて謎解きをしたくなるような細部にこだわった作品群に囲まれる贅沢な時間は僕にとっても年一回のギフトです。

 

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