2020年2月14日金曜日

TRIOLA 02/14 lete Shimokitazawa

雨上がりの夜に、小田急線に乗って。下北沢leteTRIOLAを聴きに行きました。

2010年にneutron tokyo(現白白庵)で開催された足田メロウ展『mellow tone』のオープニングパーティで共演して以来、2012年までの旧体制、4年のブランクを経て2016年以降の新体制と何度もライブに足を運んでいます。2019年は7年ぶりのアルバムリリースイヤーであったにもかかわらずタイミングが合わず。1年ぶりになってしまいましたが、今回もまた新しいTRIOLAを体験することができました。

1曲目「Yellow Boys」の水琴窟を想起させる不規則なピチカートのループから重層的に歪んだ全音符のつらなりへなだらかにつながり、エンディングは巻き取るように鮮やかなカットアウトで締める。つづいてアルバム『Chiral』の「Twin Spirals」から数曲シームレスに。

波多野敦子さん(作曲、5弦ヴィオラ)が描く脳内ビジョンを須原杏さん(ヴァイオリン)とふたりで実現させていく過程で生じるコレスポンダンス、アクシデントを再度作品にフィードバックさせていくスタイルが更に磨かれ、緻密なスコアに基づきながらも偶発性と新鮮な驚きに満ちた音楽が目の前で展開されます。

「雨」のしわがれたボウイング、「新曲2」のスローダウンさせた破調、幾重にも深くエフェクトのかかった「Parade2」と完全生音で演奏される「Masdevallia」の断崖のようなコントラスト。アンコールの「Coral」の主題はトレモロに置き換え。旧曲のリアレンジは定石を逸脱すればするほどクラシカルに響く。

酔わせるのではなく、思考に作用し覚醒させる音楽。最高難度の技がつぎつぎに繰り広げられ、着氷が乱れることがあってもそれすらスリリングなアトラクションにして魅せる。僕が体験したどのライブでも異なる旬を表現してきたトリオラ。現在は初期衝動と円熟味のバランスが絶妙と言えるのではないでしょうか。

 

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