海の日に海辺の映画館で海が舞台の映画を観る。ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場で湯浅政明監督作品『きみと、波にのれたら』を鑑賞しました。
海洋学部へ入学し南房総の海辺でひとり暮らしを始めたサーファーのひな子(声:川栄李奈)。引っ越したばかりのマンションに違法な花火が飛び火して火事になり、クレーン車で助けに来た消防士の雛罌粟港(片寄涼太)と恋に落ちるが、港は非番時の海難救助で命を落としてしまう。
湯浅監督のアニメーションは透明感や立体感よりも平板な色彩の重なりとデフォルメされた透視遠近法が特徴で、浮世絵のようなテクスチュアが持ち味だと思います。『夜は短し歩けよ乙女』では、原作の持つ京都という限定された空気感のなかで最大限発揮されていました。
もうひとつは水の表現に非常に長けていることで、今作では前作『夜明け告げるルーの歌』を更に推し進めた格好で、膨大な水量も小さな水滴も降り積もり溶ける雪の結晶も自在にコントロールしています。
死んだ恋人のゴーストが主人公のピンチを救い、その依存から脱却する成長譚は少なくない。本作では、ひな子が水(海でも水筒でも水洗トイレでもいい)に向かって特定のメロディを歌うことによってゴーストが召喚される。
その曲がふたりがはじめてドライブしたときにカーラジオから流れてきたGENERATIONS from EXILE TRIBEの新曲 "Brand New Story"。港役の片寄涼太センター曲なので、タイアップ的な意味合いが強いのだと思いますが、曲調が軽快過ぎて。もしもこれが、"Danny Boy" だったら、"I Loves You, Porgy" だったら、"The Rose" だったら、と思いました。
主人公ひな子の声を演じた川栄李奈さんはAKB48の卒業生では一番成功しているのではないでしょうか。ここでも高いクオリティを見せています。港とふたりで "Brand New Story" を歌うシーンのサビ前の「That's right!」で笑いを堪えきれないお芝居は最高にチャーミングです。
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