下北沢の書店フィクショネスで2000年に始まり、2014年7月に閉店するまで14年半続いた詩の教室で講師をしていました。いつも熱心に参加してくれていた杵渕里香さんが毎年7月にフィクショネス跡地に隣接したカフェで詩の教室を企画してくださって、今年が5回目。
以前は僕がひとりの詩人を取り上げて、作品とその技法を紹介していました。現在の開催方式になってからは、参加者みんなで好きな詩を持ち寄って、その魅力をシェアしています。
ボブ・ディラン「ラモーナへ」
〃 「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」
ドン・マーキス「蛾のレッスン」
ポーラ・ミーハン「ホウスの丘で」「At Dublin Zoo」
井戸川射子「母国」
ジュテーム北村「夏」
「電通戦略十訓」
石原吉郎「いちごつぶしのうた」
芦田みのり「国立科学博物館」
黒瀬勝巳「ラムネの日」
谷川俊太郎「昔はどこへ」
今回は翻訳作品が多かったり、ジュテーム北村氏の自作詩の一節にボブ・ディランが引用されていたり、複数の紹介作品に人名の固有名詞や妊婦のイメージがあったり、他にもいくつも偶然の符合があって、連句のような趣きも感じられます。
詩の読み方はさまざまで唯一の正解は存在しない。各々の経験と思考に基づく解釈を知ることは刺激的で楽しいことです。今回初めて知った黒瀬勝巳(1945~1981)の作品は本当に素晴らしいと思いました。
僕が一応進行役を務めてはいますが、以前の講師と受講者という立場ではなく、参加者全員がフラットに自分のペースで臆することなく意見交換できるようになってきて、フィクショネスの閉店から時を経たこともありますが、やはりその後5年続けてきた成果なのではないでしょうか。
杵渕さん、参加者のみなさん、tag cafeさん、ありがとうございました。是非また来年お会いしましょう!
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