春というよりもはや初夏。赤坂Casa Classicaで、明利美登里さん(ピアノ)、竹前景子さん(ヴァイオリン)、手島絵里子さん(ヴィオラ)のクラシック室内楽コンサート "TRIO" でした。手島さんは最近は蓮沼執太フィルに加え、F.I.B Journal Getto Stringsにも参加するなど、ポップミュージックのフィールドでも活躍していますが、今日は純粋なクラシック音楽の演奏会です。
明利さんと手島さんのデュオは別の会場で何度か聴いていますが、そこにヴァイオリンが加わる。サイドにまわったときの手島さんのヴィオラは実に手堅い。コレクティヴでカラフルなアンサンブルを楽しみました。
ヴァイオインとヴィオラの2人で演奏したバルトークの「民謡と舞曲による7つのデュオ」が面白かったです。いまでこそクラシック音楽と呼ばれますが、19世紀のヨーロッパでは最先端の実験的クラブミュージックだったんだろうな、と。そのことは、他に演奏されたモーツァルトの「ケーゲルシュタット・トリオ K.498」にも感じました(こちらは18世紀)。
いまクラブでDJがプレイする音楽の最良の一部が、10年後にはノスタルジックなカフェミュージックに変容するように、時代のフィルタを通過し200年が経った。そしてアカデミズムからはみ出したカジュアル・クラシック。
Casa Classicaは食事を楽しみながらクラシックの生演奏を聴けるお店です。なのでしんと静まり返ったコンサートホールとは違い、フライパンで油がはぜる音や、食器の触れ合う音や、ひそひそ声の会話が演奏に混じります。今日聴いた室内楽の名曲が、ウィーンやブダペストやブエノスアイレスで初演されたときもきっとそうだったはずです。そういうクラシックの楽しみ方があるのはとても素晴らしいことだと思います。
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