「娘は競うのが好きで、あらゆるコンテストで歌ったり踊ったりした」という母チティップのコメントが地元の小さなステージで踊る幼いプランプリヤのホームビデオ映像に重なる。
1997年3月にタイ王国の地方都市で生まれたプランプリヤ・マノバン。幼い頃に両親が離婚し、母がスイス人シェフのマルコ氏と再婚したのは3歳のときだった。継父は継娘を溺愛した。韓国ドラマが好きでK-POPアイドルに憧れていたプランプリヤは、バンコクで開催された韓国YGエンターテインメントのオーディションに13歳で参加。結果を待つあいだに母と訪れた占い師に「プランプリヤは親の愛情を一身に受けるが、ラリサなら世界中から愛される」と言われ、法的に改名の手続きを取った。
世界一有名なタイ人、K-POPガールズグループBLACKPINKのLISAの2024年に密着したドキュメンタリーフィルムです。5年間の練習生期間を経て、2016年にデビューしたBLACKPINKはガールクラッシュの代表格としてグローバルな成功を収めた。走り続けた10年のひとくぎりとして、1年間限定の活動休止を宣言、4人のメンバーはソロ活動を行う。LISAは、自身のマネジメント会社LLOUDをYGのシニアマネジャーAlice Kangと立ち上げ、米国でソロアルバム "Alter Ego" を制作する。
デニムのオーバーサイズシャツをラフに羽織り、ソファでインタビューに答えるLISAに、ステージやMVで見せるビッチな表情はなく、むしろあどけない。練習生時代にBruno Marsの "Talking To The Moon" をカバーした動画をYGに提出したところ、歌をやめてラップに専念しろ、と言わたことがトラウマになった、恋愛や遊びは厳しく制限され、25歳で初めてクラブに行った、など事務所に対する不満も赤裸々に語れるのは、現在のポジションを自ら築いたからか。Pitchforkほか音楽メディアでの酷評やSNSでの謂れのない誹謗中傷やリリース前の音源流出には凹むが、基本的に極強メンタルで鬼ポジティブ。なのにタイのダンススクールでお世話になり早逝したノック先生の話をすると泣いてしまう。
2025年のコーチェラフェスティバルのソロステージとその制作過程が本作のハイライトです。準備期間や直前のリハーサルはギリギリの状態だったが、本番は圧巻のパフォーマンスで数万人を魅了する。ホテルコンシェルジュ役で出演した米国の人気ドラマ『ホワイト・ロータス』の視聴者向けに「仕事していないときはこんな感じなの」とユーモラスにMCする余裕すら見せます。終演後のバックステージをBLACKPINKのROSÉとJENNIEが見舞うが、観客としてもカメラに抜かれていたROSÉの、LISAを押し倒してキスする興奮ぶりがキュートです。
僕が一番気に入ったシーンは、タイに帰省して幼馴染たちとランチを食べ、誰が払うかゲームで決めるところ、そのままの流れで出来立ての新曲 "Dream" を自宅のソファで旧友たちと聴き、自身のラブソングに照れて顔を覆うところ。LISAさんの飾らない人柄が現れていました。MVには恋人役で坂口健太郎氏が出演しています。なにかというとテキーラで乾杯する陽キャぶりもよかったです。


0 件のコメント:
コメントを投稿