2024年2月10日土曜日

レディ加賀

薄曇り。新宿ピカデリー雑賀俊朗監督作品『レディ加賀』を観ました。

主人公樋口由香(小芝風花)は売れないタップダンサー。上京して8年がんばったが、仕事といえばスタンドイン(代役)ばかり。老舗旅館の女将を務める母(檀れい)が倒れたと仲居頭からの報に、北陸新幹線に乗ると隣席の観光プランナーの花澤譲司(森崎ウィン)から缶ビールを勧められる。加賀温泉駅に着く頃には、由香はまともに歩けないほど酔っぱらってしまった。

都会で挫折した主人公が一念発起して若女将たちのタップダンスチームを作り、その過程で見舞われるトラブルや親子の確執を解決して、傾いた温泉街の再興に奮闘する。町おこし映画のテンプレートをしっかりなぞったストーリーですが、プロットがことごとくユルいです。

まず温泉街が寂れて見えない。由香の実家である旅館ひぐちも幼馴染あゆみ(松田るか)が若女将のいしざきも、団体も個人もそこそこ予約が入っており、庭園や旅館も手入れが行き届いている。由香がダンサーを諦め女将業に天職を見出す過程が描かれていない。タップダンスチームを編成するのはジョー(花澤譲司)の思い付きだが、途中から若女将たちがみんなで決めたことにすり替わっている。

と万事そんな具合なのですが、そういうユルさも含めてご当地ムービーとして僕は楽しめました。最初は気乗りしなかったメンバーたちが徐々にのめり込んでいく様は『シコふんじゃった』や『スウィングガールズ』みたいな青春感があるし、ラストの花火のシーンはいろいろを帳消しにして感動を誘います。大御所なのにカメオ的な篠井英介さんは地元出身なんですね。撮影後ですが、能登半島地震の影響もある加賀が舞台で、劇場収益の一部が石川県に義援金として寄付されます。

なにより主演の小芝風花さんが一所懸命です。出づっぱりで心配になるぐらいですが、最近作では『波よ聞いてくれ』と『あきない世傳 金と銀』の途轍もない振れ幅。今回の役柄はちょうどその真ん中あたりの感じです。

 

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