朝から気温が高く、風が強いです。東京国際フォーラムのクラシック音楽フェス『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023』は最終日を迎え、人出が増えて、盛り上がりを見せています。
今日はホールCでピアノ・ソナタを5曲鑑賞しました。
■公演番号:321〈闘いの人生の末、辿りつくや静かなる境地〉
ホールC(エレオノーレ)10:00~11:10
アンヌ・ケフェレック(ピアノ)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 op.110
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 op.111
32曲あるベートーヴェンのピアノ・ソナタの最後の3曲。今回最も楽しみにしていたプログラムです。31番3楽章フーガの上昇下降音型に込めた作曲家の意図など、演奏前にピアニスト自身による楽曲の解説が同時通訳付きで約15分。クラシックのコンサートではめずらしいことですが、効果的でした。32番の前には、生涯最後のソナタの最後の音符が16分休符であることをシェイクスピアの『ハムレット』の最期の台詞 "The rest is silence" を引用して解説。演奏の最後には約1500人の聴衆が各々の内に静寂を噛み締めました。
■公演番号:322〈名ピアニストによる疾風怒濤、巨人が描いた嵐の名曲を〉
ホールC(エレオノーレ)12:30~13:30
アブデル・ラーマン・エル=バシャ(ピアノ)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調 op.31-2「テンペスト」
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番 ハ長調 op.53「ワルトシュタイン」
ロケンローを一番感じるベートーヴェンのピアノ・ソナタが「ワルトシュタイン」、エイトビートでごりごり押しまくる第1楽章が痛快です。レバノン出身の名匠は明晰なタッチで学究的アプローチ。サブタイトルは疾風怒濤ですが、天井の高いホールの2階席に届くのは弾力のある柔らかな音像。ケフェレックより更にエレガントな演奏です。明暗のコントラストが鮮明で、第2楽章前半の静寂から一転、終盤のリフレインはまばゆい光を放っていました。
3日間の祭典が終わりました。3年の空白を経て大幅な規模縮小があったものの再開されたことがうれしいです。本国ナントの2024年のテーマは "Origine" 古楽と民族音楽とのこと。シュ・シャオメイ、梁美沙さん、カンティクム・ノーヴム。LFJで出会った才能との再会をいまから楽しみにしています。
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