2023年5月5日金曜日

ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023 ②

チルドレンズデイ。今日も東京国際フォーラムへ。4年ぶりに再開したクラシック音楽の祭典『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023』の2日目は有料公演2本と無料プログラムの講演会に参加しました。


濃いピンクのドレスを纏い大股でステージ中央に進んだ芸歴60年、79歳のレジェンドが奏でるソナタは意外にも大袈裟なところのない端正で現代的なバランス感覚を備えたベートーヴェンでした。第7番も「吹き荒れるパトス」というより精巧な工芸品のよう。一転アンコールのエルガー愛の挨拶」はポルタメントとタメをたっぷり効かせたノスタルジックな演奏スタイルで。遊び心と余裕を感じさせます。

ホールD7(アントーニエ)15:15~16:00

全16曲(+単楽章の大フーガ)があるベートーヴェンの弦楽四重奏曲のうち、最晩年に書かれた第13番以降の作品は明確な主題提示がなく、哲学的で難解な印象です。特に7つの楽章が連続で演奏される第14番は最難関ですが、生演奏に触れて理解が深まりました。第5楽章のピチカートのリレーはビジュアル的にも面白い。個々の楽器演奏に難しいところがない一方でアンサンブルには途轍もない集中力が求められる。若い4人の演奏家のやり切った表情がそれを物語っていました。

コンサートのあと18:30~19:30はホールB5(ジュリエッタ)にて、音楽評論家萩谷由喜子さんの講演会『ベートーヴェンと宮沢賢治』を聴講しました。宮沢賢治が大正時代に蓄音機で聴いていたベートーヴェンのSP盤を聴く貴重な体験。「冬と銀河ステーション」に登場するJosef Pasternack指揮ビクター交響楽団の「運命」(1916年録音)は現代の耳にはアレな感じですが、遺品のプフィッツナー指揮ベルリン新交響楽団の「田園」(1920年録音)には心躍る。あの有名なポートレートのポーズがベートーヴェンを真似たものとは知りませんでした。

 

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