2022年12月4日日曜日

ザ・メニュー

冬晴れ。ユナイテッドシネマ豊洲マーク・マイロッド監督作品『ザ・メニュー』を鑑賞しました。

小型船に乗り込み短いクルーズをする11人。ホーソン島にある予約の取れない超高級レストラン・ホーソンに渡る。主人公マーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)は若き美食家タイラー(ニコラス・ホルト)に連れられて来た。メートルドーテルのエルサ(ホン・チャウ)が船着き場からレストランまで、帆立貝の漁場、畑、燻製小屋、従業員寮を案内する。

「ひとつだけお願いがあります。食べるな。味わうのです。すべてを受け入れ、赦してください」。天才シェフ・スローヴィク(レイフ・ファインズ)の哲学が詰まったフルコースが供されるが、皿が進むごとに不穏な空気が高まり、スーシェフ・ジェレミー(アダム・アルダークス)考案の料理「混乱」でカタストロフに一気呵成になだれ込む。

「金持ちの傲慢は文化だが、私の店にも責任がある」。レストランの客席とオープンキッチンが舞台のシチュエーション・ブラック・コメディ。行き過ぎたシェフのこだわり、軍隊のように統率の取れた厨房、俗物しかいない客席。富裕層はステータスの奴隷となり、ステータスに殉死する結末を最後には自ら選択してしまう。

その中で唯一の招かれざる客マーゴだけが料理に手をつけない。チーズバーガーを食べる指に黒いマニキュア。『ラストナイト・イン・ソーホー』ではお人形然としていたアニャ・テイラー=ジョイの生命力溢れる演技が光ります。

厨房スタッフの幾何学的に計算され完璧にシンクロしたアクションとメタリックな意匠は、デイヴィッド・バーンの『アメリカン・ユートピア』みたいでいた。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿