2021年12月21日火曜日

ラストナイト・イン・ソーホー

冬至前日。新宿バルト9エドガー・ライト監督作品『ラストナイト・イン・ソーホー』を観ました。

主人公エロイーズ・ターナー(トーマシン・マッケンジー)は英国南西端の辺境コーンウォール州レッドルースで祖母と二人暮らし。自死した母親の姿が見える霊能力を持つ。

母も目指した服飾デザインを学ぶため、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションに入学したが、ルームメイトでマンチェスター出身のジョカスタ(シノーブ・カールセン)はじめハイファッションをまとったパリピ的ライフスタイルの同級生たちに馴染めず、シャーロット通りの学生寮を出て、グージ通りのヴィンテージ物件を借りる。

古いフラットの第一夜、憧れの1960年代スウィンギンロンドンに夢で迷い込む。シラ・ブラックベス・シン)が歌うカフェドパリで出会った歌手志望のサンディ(アニヤ・テイラー=ジョイ)に自己投影する。

サンディは芸能マネジャーのジャック(マット・スミス)に自ら売り込みカフェドパリより若干小さいリアルトの舞台に職を得るが、求めていたセンターではなくバックダンサーで、裕福な中年男の客を取らされる。サンディの境遇が厳しくなるにつれ、エロイーズも悪夢にうなされるようになり、やがて現実生活を侵食していく。

エロイーズが実家の部屋のポータブルプレーヤーでピーター&ゴードンのドーナツ盤を大音量で流し自作の新聞紙ドレスで踊る華やかなオープニングに惹き込まれる。ロンドンへ移動する列車ではbeats by Dr.Dreのヘッドホンからザ・サーチャーズ。1960年代UKヒッツに彩られた本作は、後半のホラー展開においても軽快なポップチューンが流れ、それが逆に狂気を強調しています。南ロンドン出身のアフリカ系同級生ジョン(マイケル・アジャオ)のジェントルな優しさが救い。

バリー・ライアン "Eloise" やデイヴ・ディー・グループ "Last Night In Soho" の物語とのシンクロ。サンディがオーディションで歌うペトゥラ・クラークの "Down Town" は『17歳のカルテ』のオマージュなのかな。サンディ・ショウダスティ・スプリングフィールドという僕が偏愛するUK60'sアイドル2トップの歌声がたっぷり聴けるのもうれしい。

煌びやかなナイトクラブに場違いなスウェットのルームウェアのエロイーズがピンクのミニワンピースのクールなサンディと同化するシーンの鏡を使った入れ替わりの演出がスタイリッシュです。

 

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