1957年、NY市グリニッジ・ヴィレッジのナイトクラブ、カフェ・ボヘミア。マイルス・デイヴィス(tp)の第1期クインテットの演奏シーンから映画は始まる。モダンジャズのレジェンド、ジョン・コルトレーン(ts、ss)が1967年に40歳の若さで肝臓ガンにより亡くなるまでの約10年間を記録したドキュメンタリーフィルムです。
1926年生まれのコルトレーンが最初に影響されたのはチャーリー・パーカー(as)。第二次世界大戦の終戦後に徴兵され、海軍軍楽隊でキャリアをスタートさせる。退役後、ディジー・ガレスピー(tp)の楽団に加わるがヘロインで首になり、マイルス・デイヴィスのところもヘロインで首になり、自力で薬物を絶って再びマイルスの元で歴史的名盤 "Kind Of Blue"(1959)に参加する。その後独立し自身のコンボを率いてジャズの新しい地平を切り開く。
わずか10年余りの期間で、ビバップ、ハードバップ、クール、モード、フリージャズ、とモダンジャズの歴史を次々に塗り替えていった。
今や数少なくなった同世代のミュージシャン、継娘、3人の実子、研究家、コレクターがエピソードを語るのだが、神経質で天才肌の無口な芸術家という先入観が覆され、温厚で勤勉な努力家という一面が浮かび上がってきます。祖父はふたりともメソジスト派の牧師だったが、キリスト教以外にイスラム教や仏教、神道にも興味を持っていた。それが晩年(といっても30代後半)のスピリチュアルな作風に影響していたのは間違いないでしょう。
二人目の(そして最後の)妻アリスはジャズピアニストでサイババ信者。ニューポートジャスフェスティバルの凄まじいインタープレイが聴けます。コルトレーンは郊外の穏やかな暮らしの中で家事をするアリスに捧げる詩をいくつも書いた。
コメンテーターでは、真っ赤なニットキャップと同色のシャツを着て草臥れたサンタクロースみたいな90歳のソニー・ロリンズ(ts)のインパクトが半端ないです。
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