小学生のみいたん(稲垣来泉)は製菓会社勤務の父水戸(大森南朋)と二人暮らし。友だち思いの泣き虫でいつもみいみい泣いているからみいたんと呼ばれている。チョコレート作りのためにブラジルに移住する父。みいたんは継母の梨花さん(石原さとみ)と日本に残ることを選ぶ。梨花さんはみいたんに愛情を注ぎ「笑っていれば必ずラッキーが転がり込む」と教える。
優子ちゃん(永野芽郁)は笑顔の絶えない高校三年生。誰にでもふりまく笑顔が敵を増やしている。継父(田中圭)のことを親しみを込めて「森宮さん」と呼ぶ。クラスでは若干浮いており、卒業合唱のピアノ伴奏を押しつけられ、別のクラスの伴奏者でリストを弾きこなす早瀬くん(岡田健史)に惹かれていく。
2019年本屋大賞を受賞した瀬尾まい子の同名小説を実写化した作品は、前半がみいたんと優子ちゃんのふたつの時間軸で構成されており、ふたりの物語がつながる中盤にカタルシスがあります。残り1時間は優子と早瀬による「親巡りの旅」。ここで伏線が回収されるのですが、よくある終盤にどさどさという感じではなく、ゆっくり時間をかけて回収される伏線は、前半の不穏な空気と裏腹に、結果的には悪者の登場しないこの作品を特徴付けるタイム感を持っています。
血縁ではない親子が自然に無償の愛情で結びついている様子が感動的。それは頻繁に登場する食事シーンや調理中の田中圭と永野芽郁のシンクロした動きなど随所で表現されています。
最近の石原さとみは往年の大女優のような風格を身につけてきました。娘の卒業式で、まぶたいっぱいにためるだけためた大量の涙を、まばたきひとつで一気に決壊させる。その技術の高さと技術を感じさせないリアリティ。素晴らしかったです。
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