2017年4月11日火曜日

この新しい星で、一緒に遊ぼう。

冬に戻ったような冷たい雨の降る火曜日の夜、中央線に乗って吉祥寺MANDA-LA2へ。mueさんのアニバーサリーワンマンライブ「この新しい星で、一緒に遊ぼう。」に行きました。

mueさんが弾き語りではじめてステージに立ったのが2001年4月11日、MANDA-LA2ではじめて歌ったのが2002年4月11日。それから毎年同じ日に同じ場所で16年。僕がはじめて来たのは2013年4月11日。それから毎年欠かさずに5回目の参加です。

mueさん自身、昨年4月11日以来ライブをお休みして旅に出ていたので、1年ぶりの帰還を待ち焦がれていたみんなで会場は一杯です。そんな期待感をよそにいつものようにふわっと登場したmueさんが、去年と同じく客電を上げてもらい客席のひとりひとりの顔を確認するところからスタートしました。

第一声がマイクに向けて放たれたとき、試合勘が鈍ったかな、と思いましたがそういうことじゃないとすぐに気づきました。この一年間、PAを通さずに、風や雲や小鳥や昆虫や遠い国の子供たち、そしてなにより自分自身に向き合って歌い続けてきたのでしょう。小さき者に語りかける声がそのまま増幅され、ライブハウスの地下空間を丸ごとハグしているかのよう。それはとてもパーソナルなのに、同じ場所にいる誰もが共有できうる幸福感。

キーボード谷口雄さん(ex.森は生きている)、ベース千葉広樹さんKinetic)、ペダルスティール宮下広輔さんPHONOTONESきわわ)は、それぞれ別のアクトでも聴いたことのある名手揃い。神谷洵平さんの表情豊かなドラムスに乗っかって、mueさん史上最高にエモーショナルな演奏になったのではないでしょうか。

夢のように緻密且つダイナミックに構築された音楽とは裏腹に、MCはこれまで以上に迷走を極めましたが、そこには逡巡を、自身の迷いや不安を隠さないと決めた人の強さがあって、それが歌声に演奏に自然にフィードバックされている。アンコールまで全17曲、「おかえりなさい!」というあたたかな雰囲気に会場全体が覆われた夜。終演後、地上に出ると雨はすっかり上がり、大きな月がこの星を明るく照らしていました。

 

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