金曜日の吉祥寺は夜も大にぎわい。『港ハイライト「抱かれたい女」リリースパーティ ”踊りませんか?” ~ノラオンナ51ミーティング~』に行きました。
地階へ降りてSTAR PINE'S CAFEの厚いドアを押すとゴリゴリの中低域、大音量で流れるフレンチポップス。小西康陽さんのDJで贅沢なお出迎え。それだけで特別な夜だとわかります。
オープニングアクト水井涼佑さんがリリカルなピアノと透明感のある歌声で描く無国籍な小都市の情景と客席からの大きな拍手を縫って7人のミュージシャンが登場する。
港ハイライトの1stアルバム『抱かれたい女』。昨年7月のリリースからだいぶ時が経ってのレコ発ですが、そのタイムラグまでもが大人の余裕を感じさせる、めくるめくエンターテインメントの2時間でした。
ノラオンナさんのウクレレ弾き語り「港がみえない」に始まり、ワタナベエス(くものすカルテット)のフレットレスベースに導かれレコードよりわずかにテンポを落とした「無理を承知で言ってるの」から「港ハイライトブルーズ」まで。全9曲のアルバムのうち収録順に8曲が立て続けに演奏されます。普段はギタリストでもある古川麦くんはほぼ全曲をハンドマイクで歌い通しました。
そしてほりおみわさんが見た夢でノラさんが歌っていた曲のタイトルから作られた新曲「都電電車」を再びウクレレ一本で。水井さんの澄んだ音色のピアノと麦くんのフレンチホルンに乗せた「風の街」も美しかった。もうひとつの新曲「踊りませんか?」はボ・ディドリー・ビートのハイテンションなダンスチューン。最近演奏される機会があまりなかった「あばんぎゃるどあなくろにずむあいどる」と「ボサボサ」、5人編成のオリジナルメンバー時代の名曲を水井さんとノラさんの二声で聴けたのもうれしかったです。
プライベートなホームパーティの趣きがあった昨年末のプチレコ発とは対照的に、これはもうライブというより一幕の舞台芸術と呼んでも差支えないのではないでしょうか。一夜限りの贅を尽くしたノラオンナシアター。小西さんの選曲はノスタルジーの額縁、バンドメンバーは腕の立つ水夫たち。いぶし銀の匠も、血気盛んな若衆も、異国のリズムを連れてくる。ノラさんは一言のMCも挟まず、丙午生まれのファムファタールたる港の酒場のコケティッシュな女主人を見事に演じ切っていました。
0 件のコメント:
コメントを投稿