2015年12月21日月曜日

『はだかの音楽』 中田真由美 ワンマンライブ

Poemusicaにも2度(Vol.22Vol.42)ご出演いただいた中田真由美さんが、音楽活動10年目にしてはじめてフルアルバム『はだかの音楽』をリリース。代官山山羊に、聞く?で開催されたレコ発ライブに行ってきました。

中田真由美さんという人は、ビョークヨンシーなんかと同じで、傍系を持たない固有種なのだと思います。とても無邪気で無防備で、常人には容易に理解できないブラックボックスを持っている。

オーソドックスなフォークソングの循環コードを基盤にはしているが、その上に乗せるまだ誰も歌ったことのなような意外性のある美しいメロディ、突然のBPMチェンジは聴き手の脳内リズムを脱臼させる。そして声。口唇のすぐ先で風が吹いているような清新な発声、こぶし、喉声、一瞬だけのファルセット、リコーダーのようなノンビブラートの強いロングノート、語り。ソングライティングに奉仕するように、これらを自在に行き来する。

自身の音楽の特異性/先進性に対して無自覚なのでは、と以前は思っていたのですが、実はそうでもなさそうです。1stアルバムまで10年かかった理由について「私は日々変化しているのに、録音して確定させることに抵抗があった」というような説明をしていました。

かといって難解な音楽ではまったくなく、中田さん自身のチャーミングなキャラクターもあり、いたずら好きで空想癖のある好奇心旺盛な少女がそのまま美しく成長したような姿を、満員の客席が笑顔で祝福しています。

アンコール含め全20曲、「てふてふ」「くらげくん」「希望のカケラたち」の3本のMV上映と片岡翔監督、出演者の紹介、「ひなたぼっこ」では、畠山慎一さん斉藤成美さん、ふたりのダンサーとの共演と盛り沢山。村木充さんのコントラバスが中田さんの音楽の明晰な愛らしさはそのままに、フル3D化したような深い奥行を与えていました。


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