この日mueさんはふたつのバンドセットで登場。まず、ら・ら・ら。ジャンベ/ガットギターの奈良大介さん、カリンバの小池龍一さんとのトリオです。ソロのときよりも若干ユルめの演奏。ネオ・ヒッピー・テイストのアフリカン・グルーヴが加わり、シンプルで空洞感のある音楽をにぎやかに奏でます。
それぞれが普段はソロで活動しているこのトリオは、誰がリーダ-という風ではなく、全員が曲を書き、リードボーカルをとります。歌詞もおおらかな感じ。小池さんのエレクトリック・カリンバ(親指ピアノ)が効いていました。もうすぐ出るファースト・アルバムからの8曲。奈良さんの8歳の息子さんが小さな手でジャンベを叩く姿に客席もほのぼのあたたまります。
そして、セカンドセットはmue。「あのかぜのゆくえ」では弾き語りでしたが、今夜は熊谷大輔さん(dr)、chubby!さん(b)と、こちらもトリオで。このリズムセクションが強力でした。キックとベースががっちり合って、そこにふんわりと乗るmueさんのギター。その歌声はまるで寒い朝に供される温かいポタージュスープのよう。 小柄で愛くるしいビジュアルと相俟って、会場全体を包み込む。
最近は自分から出てくるものを素直に歌にしているというmueさん。理不尽な想いや怒り。ネガティブな感情を唄うときも、けっしてとげとげしくなることはなく、世界に対する異議申し立ての仕方がとてもエレガントだな、と。サイケデリックな浮遊感のある新曲も素敵でした。
ゲストの田野崎文さん、富山優子さんとのデュエットも、所謂イベントライブのセッション的なものではなく、とてもこなれたクオリティの高いもので、そんなところからも彼女の音楽に対する真摯な姿勢が心地良く伝わってきます。
MANDA-LA2にはグランドピアノがあるのですが、この音色も三者三様で面白かった。すきまが多いのにまっすぐな演奏をする田野崎さん。ひんやりと明晰なタッチの富山さん。輪郭のくっきりしたギターと同じ指で弾かれるmueさんのピアノはなんていうか、いい感じにくぐもっているんですよね。それはまるで、濃い霧の中を漂っているような。
最後に出演者全員で演奏したサンバ、「東京の夜」では、mueさんの身体能力の高さを存分に堪能。
毎年12月12日に開催されるこのライブ。来年は木曜日です。いまから楽しみがひとつ増えました!
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