夏日。TOHOシネマズ日比谷でジェイムス・キャメロン&ビリー・アイリッシュ監督作品『ビリー・アイリッシュ HIT ME HARD AND SOFT : THE TOUR (LIVE IN 3D)』を観ました。
開演18時間前、カナダのケベック市にある18,000人収容のアリーナCentre Vidéotron のステージセットの設営から映画は始まる。2024年9月から2025年11月に開催され150万人を動員したビリー・アイリッシュのワールドツアー "HIT ME HARD AND SOFT : THE TOUR" の劇場版映画化です。
360度客席に囲まれたステージ中央に設置された発光する巨大な立方体は『2001年宇宙の旅』を思わせる。シンセベースの重低音が会場を震動させ、自身のツアーグッズのバスケットシャツとベースボールキャップを身に着けたビリーの姿が立方体のLEDに透けて、"Chihiro" を歌い出すと客席のボルテージはマックスへ。レコーディングされたアンニュイなウィスパーはライブ仕様のストレートなシャウトに置き換えられている。
10代から20代前半の白人女子が中心の観客は、"when the party's over" でステージにしゃがみこんだビリーが一人コーラスのループを作る際に黙らせる以外、全曲シンガロング。もしくはスマホを掲げて動画を撮るか、泣くか、それら全タスクを同時にこなすか。
最初は気になった観客の歌声が、ギリシャ悲劇のコロスやゴスペルのコーラスにも似た聖性を帯びて聞こえてくるミラクル。「誰もがここでは安全」とビリーは言う。SNSで時折見かける「隣席の歌がうるさい。あんたの歌を聴きにきたわけじゃない」論争に対するひとつのアンサーを見た気がします。
インサートされるジェイムズ・キャメロン監督によるインタビューショットで「嫌なことがあると最後列の観客のことを考える」と答えるビリー。『ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけている』(2021)のチック症に悩む自己肯定感の低い猫背の少女はそこにはもういない。
女声コーラスのエイヴァとジェインは背中に名前が刺繍されているラルフローレンの赤いポロシャツとチャコールグレーの膝丈プリーツスカート。4人の男性メンバーもおそろいのネイビーのポロシャツ。ピックと指弾きを使い分け超重厚な低音部を支えるソロモン・スミスのベース。終盤2曲に登場し、ピアノとギターを弾く兄フィニアスの慈愛のまなざし。
なによりビリー本人がこれだけ短期間にビッグネームになったにも関わらず、少しも自分を見失っていないように見える。ハンディカムを掲げ、熱狂する観客と自撮しながら疾走する姿を見てそう感じました。
3D映像に関してはそこまででもないな、2Dでもよかったかも、と思って観ていたのですが、エンディングの紙吹雪が手に届きそうなくらい近くまで舞ってきたとき、会場にいる一体感を得られたので、やはり3Dで観てよかったです。


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