ファースト・オブ・メイ。都営地下鉄大江戸線に乗って。GINZA RECORDS & AUDIO KURAMAEにて開催された『Chimin × やまはき玲 =レコジャム=』に行きました。
今回はChiminさんがひさしぶりにひとりでギター弾き語りをするという見逃せない日。長いブランクを経て2023年秋にライブ復帰してからは歌に専念しており、僕が弾き語りを聴くのは2016年6月のPoemusica Vol.48以来、実に9年ぶりです。
小柄なChiminさんが小ぶりなアコースティックギター(Martin O-28?)を抱いて歌い始めると場の空気が一変する。1曲目は在日コリアン3世のChiminさんが通った大阪の民族学校の音楽の教科書に載っていた「海が好き」とうたう歌をハングルと自身の訳による日本語の歌詞で。
続く「すべて」は歌詞の一部を引用させてもらって同題の詩を書いた思い入れのある楽曲、「夜」はエレピの演奏に慣れていますが、Chiminさんが弾く余白たっぷりのミニマルなテンションコードに透き通ったファルセットが響く。近年演奏機会の少ない「帰っておいで」「雨がやんだら」、以前リクエストを聞かれて答えた「蛇口」もうれしかったです。
技術があり且つ彼女の音楽を深く理解しているサポートミュージシャンに支えられて歌唱に集中しているChiminさんも素敵ですが、緩急自在な弾き語りは、その心許なさも含めて彼女の音楽の裏側にある、震え、怯え、脆さや陰影をより一層際立たせ、また違った美しさで、現実に存在して歌う人を見たなあ、という感動があります。
会場は隅田川の護岸から徒歩5分程のリノベートされたヴィンテージ建築の3階にあるお洒落な中古盤店。YES、STING、LAURYN HILL、Smashing Pumpkinsなどが面出しされた品揃えがマニアック過ぎず好感度大。入店したときは、Neil Youngの "Comes A Time"が超Hi-Fiで流れていました。
ライブは、リバーヴを綺麗に効かせた弾き語りの小箱っぽい音響でしたが、お店の雰囲気やレコードの再生音とのバランスを考慮すると、もうすこしドライなMIXのほうがいいかなと僕は思います。
共演者のやまはき玲さんは東海林仁美さんのピアノサポートで、3/4拍子主体の楽曲を適度に乾いた抜けの良い声でさらっと明るく歌います。ちょっとノスタルジックな楽曲群に、入場前に歩いた向こう岸に東京スカイツリーを望む幅広な隅田川の開けた初夏の夕景が似合いました。
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