2022年10月21日金曜日

クリエイション・ストーリーズ 世界の音楽シーンを塗り替えた男

夏日。新宿シネマカリテニック・モラン監督作品『クリエイション・ストーリーズ 世界の音楽シーンを塗り替えた男』を観ました。

1970年代後半、大英帝国スコットランドの小都市グラスゴー。十代のアラン・マッギーレオ・フラナガン)はデイヴィッド・ボウイに憧れ、妹の化粧品でメイクしてラケットをギター代わりに自室で踊っているところを父親(リチャード・ジョブソン)に見とがめられる。

テレビに映ったセックス・ピストルズに衝撃を受け、街角で新聞売りをしているときに声をかけてきたボビー・ギレスピーキアラン・ロウレス)、同級生のアンドリュー・イネスジャック・ピーターソン)とパンクバンド The Drainsを結成する。

The Jesus and Mary ChainPrimal ScreamMy Bloody ValentineTeenage FanclubOasisを見出したクリエイション・レコーズ代表アラン・マッギー(ユエン・ブレムナー)がインタビューで当時を回想するという設定のノンフィクションムービー。冒頭に「ほとんど実話だが、犯罪者保護のため変えた人名もある」と案内があり、登場人物は役者が演じていますが、音楽は実際の音源を使用しています。

ミュージシャンではなく裏方を主役に据えているわけですが、マッギー自身、Primal Screamの前身となったThe Drains以降、The Laughin' AppleBiff Bang Pow!等のバンドで演奏しており、レーベルの初期スタッフはTelevision PersonalitiesThe Timesのメンバーが務めている。

僕自身はクリエイションより一世代前のラフ・トレード4ADファクトリーがジャストな世代ですが、クリエーションには前述のビッグネーム以外にもいいバンドが多数いて、The LoftThe Wheather Prophetsなんか好きだったな。

ダニー・ボイル製作総指揮らしいドラッグ・ムービーでもあり、ありとあらゆる薬物に手を染めたマッギーは自宅トイレでアレイスター・クロウリーの幻影に怯える。クリエイションの株式をソニーに売却した後の英国労働党に傾倒したマッギーと監督ニック・モラン自身が演じるマルコム・マクラーレンの初老の男ふたりが公園を散歩し、マルコムが「すべての創造と文化は退屈への反作用だ」と説くシーンにしみじみ。

フリーメーソン会員の父親役を同郷の先輩バンド The Skidsのボーカリスト、リチャード・ジョブソンが演じているのも熱いです。

 

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