下鴨幽水荘は貧乏学生たちが暮らす京都市左京区のヴィンテージアパート。三回生の「私」(浅沼晋太郎)は、映画サークルMISOGIで監督としてB級作品を大量生産する1年後輩の明石さん(坂本真綾)に恋心を抱いている。
「私」が下鴨幽水荘で唯一クーラーのある209号室に引っ越した数日後、歯科衛生士羽貫さん(甲斐田裕子)が栓をせずに置いたコーラを悪辣な同級生小津(吉野裕行)がリモコンにこぼしてクーラーは動作しなくなる。8月12日、真夏のボロ下宿で暑さに耐えかねた仲間たちはタイムマシンで1日過去に遡り、壊れる前のリモコンを奪回することを思いつく。
TVアニメ化された森見登美彦の小説『四畳半神話大系』の貧乏臭い設定と自堕落な登場人物たちが、2005年に瑛太と上野樹里で実写映画になった京都の劇団ヨーロッパ企画の舞台『サマータイムマシンブルース』のストーリーでサイエンスSARUの色彩豊かで平面的な意匠に乗って好き放題する爽快なバケーションムービーです。
「私たちは未来を知ることはできない。知らないということは何でもできるということ。つまり自由ということです」。登場人物全員が不完全で愛おしく、金は無いけれど、時間だけはふんだんにある(と当時は信じていた)青春のモラトリアムを経験した我々にとっては、イタさとシンパシーを伴うノスタルジーを90分間楽しめる一本になっていると思います。
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