花冷えがすこしだけ戻ってきた金曜日の夜。中央線通勤快速で西荻窪へ。サブカル酒場SWAMPで開催中の『第二回花本武物産展』にお邪魔しました。
戦後詩の五大ヒロシ(関根弘、吉野弘、川崎洋、岩田宏、長田弘)と並び称される(?)2000年代トーキョーポエトリーシーンの四大タケシの一人にして吉祥寺ブックスルーエのカリスマ書店員花本武。
鹿取洋子のLP盤が大音量で流れる店内のそこかしこに置かれたノート、ファイルやスクラップブック。ほとんどすべてのメディアは紙。膨大な物量。
「花本武作品」「花本武のスクラップブック」「花本武の軌跡」「花本武コレクション」。そして一冊一冊の冊子にはタイトルが付与されている。これだけ自分の名を冠しているのにも関わらず、そこには自己愛も自己嫌悪も感じられない。そして何より感動するのは「作品をつくろう」という意思が綺麗に拭い去られているところだ。
「捨てない」をコンセプトにした、これは一種のアウトサイダーアートと言ってもいいのだと思う。一冊毎には明確なテーマ性があり、制作の過程が几帳面過ぎて、男子の性的妄想の入り込む隙間がない。そのことによって無粋なマッチョイズムからすり抜けて図らずも超ドライでスーパーフラットな視点を獲得しており、観る人みんなを笑顔にする。
そのなかで異彩を放っていたのが「空プロジェクト」というスナップ写真アルバム。映画『スモーク』に触発されて毎日同時刻に空をフィルム撮影した一冊からは、花本武の詩作品にも通じるセンチメンタリズムが滲み出しています。
小学一年生の夏休みの「えにっき」も素晴らしかったです。「きようはおとうさんととこやにいきました。そのあとせぶんいれぶんにいきました」。すべてのセンテンスが過去形で、その究極のシンプリシティに打たれました。
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