日本戦後詩のラスト・サヴァイヴァー谷川俊太郎氏は現在86歳。3000篇以上の詩作品を発表し、今尚枯れることなく旺盛な創作をし、複数の詩人賞を受賞している。
連帯を呼びかけたり集団に語りかけることを嫌い、あくまでも「個」と対峙し、また自身もどこまでも「個」であろうとするクールな存在感は十代で詩壇に颯爽と登場したときと変わらずにいて、このご時世においては天邪鬼ともいえますが、徹底したその姿勢は感動的でもあります。
僕が十代で彼の作品に触れた当時はそこまで孤高の存在ではなかった。田村隆一も吉岡実もいたし、堀口大學でさえ存命だった。
桑原滝弥、鈴木陽一レモン、ジョーダン・スミス、Anti-Trench、大島健夫、森下くるみ、馬野ミキ、小林大吾、暁方ミセイ、ジュテーム北村。20代から60代まで、性別も国籍もバックグラウンドもさまざまな10組の出演者がカバーする。作品のセレクションやアレンジの仕方もさることながら、ステージに上がり、マイクに向かい、声を発し、ステージを降りる、その振る舞いのすべてに、谷川俊太郎という名の「ポエジーのメートル原器」とでもいうべきものが当てられているように見えます。
小林大吾さんの明晰さ、暁方ミセイさんのテキストの正確さ、強さとチャーミングな表情のギャップ、ジュテーム北村氏の企まざる批評性、等々。どのアクトも見ごたえ、聴きごたえがありました。
俊読2019は札幌で開催、出演者のオーディションライブも事前に開かれるとのこと。そして谷川俊太郎氏は今秋開催されるウエノ・ポエトリカン・ジャム6のヘッドライナーに決定。まさにリヴィング・レジェンド・オブ・ポエトリーと言えましょう。
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