2016年7月22日金曜日

南国恋情

梅雨明け間近の涼しい夕方、ゆるやかな坂を上って下って外苑前のTAMBOURIN GALLERYへ。『森宏の個展2016「南国恋情」』にお邪魔しました。閉廊間際の時間に着いたにも関わらず、歓待してくださってありがとうございます。

小さなスピーカーから流れる島唄。入り口にはオリオンビールの提灯と椰子の鉢。壁一面を埋め尽くす夏の光景。作家森宏さんのサービス精神に溢れる楽しい展示で、とても幸せな気持ちになりました。

パンチラ、パンモロ、胸の谷間、脇乳と思春期男子目線が潔く痛快です。クローズアップだけでなく、大勢の食事風景があったり、真夏の日差しに輪郭が滲んだ南島の樹木があったり。特にギャラリーの壁面上方をぐるりと囲んだ午睡のパノラマは壮観です。

21世紀の東京のゴーギャン。エロを基調としながら、じめじめとしたものになっていないのは、明確なコンセプトと確かな技術に裏打ちされているから。迷いがなく正確な描線、明るく健康的な色使い、繊細なタッチ、ウィットに富んだコラージュ。そして時間とともに移ろう光を捉える眼。

昼間の日向を明瞭な色彩で描く一方、正午過ぎのビーチは眩しく緩ませる。柔らかく斜めの早朝の日差し、宵闇の深さと温度を持つ電球の輝き。ノスタルジックで幸福な夏の空気。

タンバリンギャラリーさんを訪れたのは2010年12月のワンマンライブ以来。療養中だった共同経営者のイラストレーター永井宏さんはその後お亡くなりになられましたが、あの冬の夜の賑わいを夏の絵を眺めながら思い出しました。

展示は明日7/24(日)まで。雨期の東京に咲いた170葉の夏の光をきっとお楽しみいただけると思います。東京メトロ銀座線ユーザーのみなさん、是非!


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