長月。ユナイテッドシネマ豊洲でジョージ朝倉原作、田口トモロヲ監督作品『ピース オブ ケイク』を観ました。
失恋と同時に失業した意志薄弱な恋愛体質の主人公志乃(多部未華子)が引っ越した先の木造モルタルアパートの隣室に恋人あかり(光宗薫)と同棲している優柔不断なレンタルビデオ店長京志郎(綾野剛)にひとめぼれ。すったもんだの挙句にどうにかなるお話です。
a piece of cake (ケーキのひときれ)転じて「とるに足りないこと」「たやすいこと」という慣用句。予告編はティーンズ向けの恋愛映画という体だったので、トモロヲ監督がどんな風に撮ったのか興味本位で観に行きましたが、予想に反して面白かった。
高円寺や阿佐ヶ谷(ロフトAの店長役がクドカン)下北沢の見慣れた街並み、OFFOFFシアターからザ・スズナリそして本多劇場というアングラ劇団めばち娘(実際に演じているのは劇団鹿殺しfeat.峯田和伸&松坂桃李)のサクセスストーリー(といっても全部下北沢駅徒歩5分以内)、トモロヲさんらしいサブカルネタをちょいちょい放り込んできますが、この映画の魅力は主演女優の力に負うところが大きい。
キレ顔の邪悪さは当代随一、若手女優で多部ちゃんの右に出る者はいないといっても過言ではないでしょう。居酒屋で泥酔してバイトの先輩に絡むシーンは超ナチュラルでキュートだし、過剰に多いキスシーンも骨ばった背面ヌードも適度にエロく、適度に爽やか。全体に「演じてます!」というドヤ感が皆無で好感度急上昇。
オネエの劇団員を演じた松坂桃李と情緒不安定な作家志望(のちに芥川賞受賞)の光宗薫の好演。志乃の勝ち組の友人役の木村文乃もよかったです。
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