1年半の刑期を終えて出所した男(渋谷すばる)は、その日のうちに路上で、金属バットで殴られ記憶を失ってしまう。聞こえてきた音楽に吸い寄せられ血まみれのまま辿り着いたのは大阪のワイルドサイド恵美須町夏まつりの公園ライブ。マイクを奪い「古い日記」をシャウトして失神してしまう。バンドのマネージャー、カスミ(二階堂ふみ)が連れ帰りポチ男と名付ける。そして紐解かれる過去、蘇る記憶。ひと夏の物語。
山下監督にとっては『リンダリンダリンダ』以来の音楽映画。バンドを演じる赤犬のメンバー全員がいい味を出しています。下町の雑然とした風景、大阪人という先入観に反して登場人物に多くを語らせない演出も効果的。『探偵ナイトスクープ』や『あまちゃん』に向けたオマージュでくすりとさせ、ヒロインの入浴シーンも外さない。山下監督のこういうとこほんとに上手いな、と思います。
「しょうもな」が口癖のセーラー服姿でPAを操作するなんちゃって女子高生カスミの世界には、おじい、マキちゃん(鈴木紗理奈)、スタジオ、赤犬の4つしかない。そのどんづまり感。関ジャニ∞の渋谷すばる、虚ろな瞳で難しい芝居をよくこなしていると思います。父親の歌う「古い日記」が録音されたソニーのカセットテープCHF90のビジュアルには懐かしさで震えた(笑)。
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