あと4週間で夏至。だいぶ日が長くなりました。下北沢Workshop Lounge SEED SHIPにて"Poemusica ~すこしだけブルースが沁みる夜~"が開催されました。
栗田裕希さんは大阪から。先週から今週にかけて、名古屋と東京のライブサーキット中。ナチュラルのテレキャスターのブライトな音色を活かして、スモーキーな声でソウルフルに唄います。この日のサブタイトル通り、いやサブタイトル以上にブルースが心に沁みました。ブルース黎明期のアメリカ南部やグレイハウンドバス、ジュークジョイントの話。ゆったりとした大阪弁のMCも心地良く、会場を温めてくれました。旅の途中の人の話はいつも面白いです。
つづいてLittle Woody Animation。『オバケトゥザフューチャー』という作品で、はじめての即興生アテレコに挑戦。日本語の字幕に重ねる声は無国籍言語というか架空の言葉。そこに時折「ピニャコラーダ」「~のやつ」といった単語が挿入され、視覚的な意味と聴覚上の意味/無意味のはざまで客席の笑いを誘う。去年7月のPoemusicaのとき出演者みんなで競作した「メロディ・フェア」をひさしぶりに観られたのもうれしかった。
アカリノートさんは名曲「モチーフ」からスタート。彼が澄んだハイトーンで唄い出すと、すこしざわついていた会場の空気がはっきりと変わる。こういう瞬間があるからライブはたまりません。そしてLittle Woodyに呼応するように、アカリノート版「メロディ・フェア(カワグチタケシ訳詞)」。先週5/16が誕生日だったLittle Woody のためにサプライズ的なバースデーソングも飛び出して、照れるLittle Woody(笑)。
そして最後、いわさききょうこさん。リハーサルのカジュアルなボーダー姿から一転。白の上下で凛とした佇まいです。曲調は正統派のフォークソングといっていいと思いますが、熟語の多い硬質な歌詞と自然できれいな歌唱とあいまって清潔感のある強いオーラを放つ人。客席でメモを取るお客様が何人もいらっしゃって、その熱心さが窺われます。音楽に対する彼女の真摯で生真面目な姿勢がきっと伝わっているのでしょう。
僕もブルースを若干意識して、まずオープニングにカバーを2篇。トム・ウェイツの「ダウンタウン・トレイン」カワグチタケシ訳、栗田裕希さんにブルースの循環コードのバッキングをお願いしてラングストン・ヒューズの「ものういブルース」。アカリノートさんとふたりで「風の生まれる場所」再演、最後にアカペラで「アナザー・グリーン・ワールド」を朗読しました。
今回のサブタイトルをもらってから一ヶ月。ブルースを考える良い機会になりました。阪堺電軌沿線の錆びた風景もひとつのヒントになった。そして自分がどれだけ恵まれて育って、苦労知らずにここまで来たかってことも再認識しました。それでも、小さな苛立ちや忘れられない失敗はあるし、どんなに絶望的な環境においても、かすかな灯りや笑いがある。それがブルースってことなのかな、と思います。
さて、来月。これまた簡単そうで一筋縄にはいかないサブタイトルがついています(笑)。乞うご期待!
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Poemusica Vol.18 ~詩的にメロディアス~
日時:2013年6月20日(木) Open 18:30 Start 19:00
会場:Workshop Lounge SEED SHIP
世田谷区代沢5-32-13 露崎商店ビル3F
03-6805-2805 http://www.seed-ship.com/
yoyaku@seed-ship.com
料金:予約2,300円 当日2,500円(ドリンク代別)
出演:アナン *Music
瀬里奈 *Music
倉沢桃子 *Music
Little Woody *Animation
カワグチタケシ *PoetryReading
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